夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「チナミ、元気ないようだけど、どうかした?」
「ななんでもないから、気にするな」
「・・・うん」

私はまた何かおかしなことを言ってしまったのかチナミが何もしゃべらなくなり、なんとなく気になり声をかけても冷たく言われてしまい突っぱねられてしまった。
明らかに様子がおかしくてそれが私のせいなら謝りたいのに、理由が分からないから謝れないし反省も出来ない。
気まずくなって、余計に話しづらくなる。




「あれ、マリアではありませんか?」
「え、あアーネスト」
「わんわん」
「何?」

現場である所で聞き覚えのある声に呼ばれ、後を振り向くとそこにはアーネストがいた。
コロは嬉しそうに尻尾を振って喜んでいるけど、なぜかチナミからは殺気が感じられ警戒もしている。

「おや、君もいたのですね?凪さんがいないから、私を斬るのでしょうか?そんなことしたら、凪さんが怒り狂いますよ」
「チナミはそんな人じゃない。アーネストそんな意地悪言わないで」
「マリア・・・」
「マリア、すみません」

チナミを悪く言うアーネストに、私はチナミを庇いお願いをした。
確かに警戒するチナミが悪いけど、挑戦的に言うアーネストも悪い。
二人ともお互いに何か誤解している。
そう言えばチナミは異人をよく思っていないらしい。
私が異人だって思っていたときは警戒していて、日本人だって分かったら謝って仲良くしてくれた。

・・・なぜ?
異人も私達も同じ人間なのに・・・怖いだけ?

「チナミもアーネストは怖くないから大丈夫。優しい人」
「怖いとは思ってない。勘違いすんな」

本当のことを言っただけなのに、顔を真っ赤にして怒られてしまった。

怖くないのに警戒している?

「マリアも凪さんと同じで、面白い人ですね。所で二人は何を・・・ひょっとしてデートですか?」
「デートじゃない。真犯人を探して、仁と咲の無実を証明する」

デートの意味は知っているためきっぱりと否定して、これから何をするのかをちゃんと話す。
私がデートするのは祟だけだと決まっているから、チナミと遊んだとしてもデートじゃないと思う。
チナミは私の普通の友達で、そもそも今は大事な調査中。
遊んでいる暇などない。

「Dr.南方と咲さんがどうかしたのですか?」
「無実の罪で捕まってる」
「それって先日ここで起きた事件のことでしょうか?」
「ああ。それで俺達は再調査をこれからする所だ」
「では私も是非協力させて下さい。Dr.南方は私にとっても大切な友人なのです」

訳を知ったアーネストは真剣な表情になり、自ら協力すると申し出てくれた。
アーネストは凪と帯刀の友達で、仁と咲とも友達。
友達が困ってたら助けてあげるのが当然だとお兄ちゃんは言ってた。
私もそう思う。

「うん。ありがとう」
「そう言えば凪さんは、何をしているのでしょうか?こう言う時は間違えなく先頭に立っていると思ったのですが」
「凪は貧血で倒れたから、家で安静にしている」
「貧血ですか?ならこれが終わったら、私も一緒にお見舞いがてら行きます」

アーネストは凪のことも心配らしい。
なんとなく仁のことよりも心配している。
そんな気がした。



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