夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「シュウは凪の傍にいなくて良い?」
−ええ、今日は帯刀がずーっと傍にいるそうなので、私達は邪魔なのですよ。
「そうか」
「小松殿がいるのならば、小松も無茶をしないだろう。あいつは家老の妻としての自覚が足りなさ過ぎる。・・・まぁ小松殿を慕って尽くしていることだけは、それなりに認めているが・・・」

凪の代わりにコロとチナミとで証拠捜しに劇場である現場に向かっている時、護衛としてついてきたシュウと会話する。
龍馬は何か違うことを調べたいことがあるらしく、私達とは別行動をすることになった。
シュウは本来ならば凪と一緒にいるのが当然なのに、今日に限らず何かと私を気にかけてくれていた。
シュウが守護するチナミだけなら分かるけれど、どうしてこんな私のことも気にかけてくれるのだろうか?

−それはあなたが天の朱雀の娘だからです。
「え?」
−ですから私はあなたのことも兄の湛渓のことも気にかけているのです。迷惑でしょうか?
「ううん、迷惑じゃない。ありがとう」

何も言っていない私の疑問にシュウは分かりやすく答えてくれ、本当に迷惑じゃなかったから首を横に強く振ってお礼も言う。
父さんが天の朱雀だってことは、お兄ちゃんから聞いていた。
だとしたらシュウは、父さんのことを知っている?

−もちろんですよ。ヒノエは頭が切れて、仲間思いのとても頼りになる人の子でした。・・・軽くて無類の女好きって言う難点もありましたが・・・。今の湛渓そっくりです。
「・・・でも父さんは母さんを愛していたんじゃ?」
−ええ、とても愛してましたよ。ですから湛渓もきっと運命の出逢いがあれば変わっていくでしょう。
「そうか。お兄ちゃんの運命の出逢いか」

シュウが教えてくれたことに不安になったがすぐに言い加えてくれ、そしてお兄ちゃんの考え方を直す良い方法も教えてくれた。
お兄ちゃんは考え方を改めると真剣に言っていて信じてはいるけれど、もしお兄ちゃんにもそう言う人が現れたら余計に良いと思う。

・・・私がお兄ちゃんの運命の人を探す?
だとしらどんな人が良い?
なんでも出来る優しいお兄ちゃんだからどんな人でも合いそうだけど、人の痛みが分からない意地悪な人は駄目。

「おい、マリア。何をぶつくさ言っている?」
「え、シュウと話しているんだけれど?」
「は、シュウと?」
−すみません、マリア。私の声はチナミには聞こえていません。

不思議がるチナミに私も不思議に思いながらも答えを言うと、シュウは申し訳なさそうにそう言って問題は解決される。
シュウはきっと優しいからチナミに聞かれたら困ると思ったんだろう。
別に聞かれても私なら困らない。

「シュウに父さんの話をしてもらって、お兄ちゃんのことも」
「そうか」
「うん。それで私この事件の真犯人を見つけたら、今度はお兄ちゃんの運命の人を探す」
「運命の人って、探して見つかる物なのか?」
「うん。私の運命の人はお兄ちゃんが探してくれたから、きっと見つかると思う」
「!!」

だから私は隠すことなくちゃんと話すと最初は変な顔をするチナミだったが、見込みも話すとチナミは立ち止まり顔色を変え私を見つめる。
衝撃を受けショックした表情にも見えた。



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