夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「あれ、ここは・・・うち?」
「夕凪、よかった」
「え、帯刀さん?」

なぜか気がつけばそこは我が家で、真っ先に帯刀さんに抱き締められた。
気が気ではなく切迫詰まっている感じ。
まったく状況が読めない私は、訳もわからず首をかしげる。

確か私は医学館でお頭と話し合いの末説得できたから現場にいこうとしたら・・・・倒れた?
まさか毒を盛られたとか?

「どこか痛くないか?お前いきなり倒れたと思ったら意識をなくしてたんだぜ?俺達全員大騒ぎ」
「特に小松殿などこの世の終わりかのような青ざめきった表情で戻ってきたんだぞ?」
「まぁ帯刀は、凪のことになると人格が変わるから、相手にしない方が無難だ」

しかし私の予想とはまったく異なり、いかにも私らしい理由を聞かされる。

そう言えば後頭部がズキズキするのはそのせいか?

どうやら私はまたしても、あらゆる人・・・特に帯刀さんに迷惑をかけてしまったようだ。それも相当に・・・。

「すみません。大変ご迷惑かけました」
「いえいえ。どうやら貧血だったようなので、一先ず安心です」
「ええ、本当に。でも念のため今日一日は安静にして下さい」
「そう。後は私達にすべて任せて、夕凪は大人しくしていなさい。いいね、わかった?」
「・・・はい・・・」

心の底から謝れば佐分利先生と福田先生は、南方先生のように私のことを労ってくれる。帯刀さんは厳しく私を叱るけれどそれは私への愛情だって知ってるから、口答えせず素直に頷いて見せた。
本当はこれからがいろいろ調べたり証拠の裏付けを取ったりする本番なんだけれど、怒っている帯刀さんの私を見る目は完全に何かを怯えている。
その何かに心当たる私には、これ以上心配かけられなかった。
私に何かあったら、きっと帯刀さんは狂ってしまう。
私もそうだったから。

「私、みんなと力をあわせてお茶碗を見つけるから、凪は心配しなくてもいい」
「そうだな」
「凪、大船に乗った気でいろよ」
「わんわん 」
「ありがとう。よろしく」

張り切っているマリアちゃんは私を安心させるためなのか、心強いことを言ってくれ龍馬にチナミちゃんとコロも力強く賛成した。
この三人と一匹に任せておけば、心配はないと思う。


「そう言えば四神達はまだ調査中ですか?」

いつまで経っても部屋に戻ってこない四神達ことが気になり聞いてみる。
こう言う時は大袈裟に心配してくれるはずなのに、居間は私の頼みを優先してるのだろうか?
それならそれでいいんだけれど、もし・・・

「アオを全員で袋叩きにしてるよ。夕凪を護れなかったのだから当然の報いだね」
「はっ?これは自業自得なんですから、アオちゃんはまったくの無関係です」

不吉な思いは嫌な意味で予感的中してしまい、声を上げてアオちゃんの潔白を証明しよとする。

確かにアオちゃんは私の護衛だったけれど、あれは私が悪いんであって仕方がないこと。
責められるだけではなく、袋叩きなんてあり得ない。
あまりにも可愛そうだ。

「残念ながらアオ自身が非があったことを認めている」
「そんな・・・私、アオちゃんを救ってきます。・・・え?」

我慢出来ずそう言ってどこにいるかも分からない四神達を捜しに立ち上がると、急に目眩が襲いバランスを崩しよろけるけれど倒れる前に帯刀さんに支えられた。
頭がぼーっとして、身体がふあふあしている。

「夕凪、無理しない。君は病人なんだよ」
「・・・すみません」

ごもっと過ぎて、それしか言えなかった。

・・・アオちゃんには後で謝るしかないか。



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