夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「ここが医学館の総本元か。さぁ気合いを入れて乗り込むよ」
「気合いって・・・お前医学館に討ち入りする気か?」
「うっ討ち入り?小松落ち着け。いくらなんでもそれは辞めといた方が良い」
「んなことしないよ。・・・討ち入りなんてしたら、帯刀さんの特大雷が落ちる・・・」

医学館にやってきた私達は気合いを入れるため言った何気ないことに、龍馬は呆れチナミちゃんからはどやされとんでもない勘違いをされてしまう。
一瞬それも良いかなって思ったけれど、後が怖いのですぐに却下した。
そもそもまだ医学館の人間が真犯人だと言う証拠が何もない以上、そんなことしたら至極悪人とやっていることは変わらなくなる。

「坂本さん、凪様、大変です」
「え、佐分利先生と福田先生?」

いざ乗り込む決心をしていてた時、血相を変えた佐分利先生と福田先生が駆け寄ってくる。
ただ事ではないご様子に、私達の勢いは止まった。

一体何?

「これを見て下さい。医学館が調べて幕府に報告した物です」
「ちょっと見せて・・・」

佐分利先生から手紙を受け取り、早速目を通す。


「は、何これ?安道名津一つに毒が出た?んなロシアンルーレット見たいな賭けをやるか?」

手紙を読んだ私は怒りに燃えた。
こんな馬鹿げた調査を鵜呑みにする幕府は頭がおかしい。

手紙の内容は医学館が調べた調査内容が書かれていたけれど、それは南方先生が献上した安道名津の一つからヒ素が検出された。
だから犯人は南方仁だと。

これでは南方先生は無差別犯で、ひょっとしたら私が死んでいた可能性もある。
そんなの絶対ありえないことなのに、なんでそうなるのか教えて欲しい。

「ロシアンルーレット?なんだそりゃ?」
「拳銃に弾を一つだけ入れてシリンダーを回転させて、銃口を自分のこめかみにあてて撃ち合う度胸試し。誰に当たるか分からないっての」
「なるほどな。でも南方先生がそんなことするはずないだろう?」
「当たり前じゃない?・・・あっそう言えばお茶碗のことが書いてない」

ある肝心なことにようやく気付き声をあげる。
そう言えば和宮様が倒れる瞬間、お茶を飲んでいた。
だとしたら普通なら安道名津よりもお茶を疑うはずなのに、あのお付きの・・・クソ婆は一ミリも疑わなかった。

なんで?
・・・まさかあのクソ婆が真犯人?
それでいて医学館と裏で繋がっている?
だから証拠隠滅?
でもそれだとしたら、和宮様を殺害しようとする動機って何?

「凪様もそこを疑問視されるのですね。松本先生もお茶碗が見つかれば、真相解明できるかも知れないとおしゃっていました。しかし幕府はこの事件を内密にしたいらしく、急いで処理をしたいらしくて」
「幕府もバカだね」
「小松、そんなこと言うんじゃない。薩摩潘は尊皇佐幕派だろう?」
「まぁね。腐っても一応お上だし。だけど私自身は開国派だよ」

佐分利先生の言葉に自然と酷い言葉をこぼれでると、チナミちゃんから速攻口止めされ渋々納得。
今はまだ時期的に、敬わなければならない。

「それで凪、どうする?」
「やっぱり討ち入りしようか?」
「穏便にして下さい」
「話し合いは出来ない?」
「う〜ん。やっぱりそうなるよね・・・」

考えることがバカらしくなりさっき却下したことを実行しようとすると、やっぱり福田先生が青ざめそれからマリアちゃんに阻止され思い止まる。

話し合い・・か。
今すごく腹が立っているから、上手く話せるだろうか?




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