夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「帯刀さん、今日はお疲れ様でした。気持ち良いですか?」
「ああ、気持ち良いよ」

夕食が終わりようやく二人だけの時間になり、毎日の日課になっている帯刀さんのマッサージ。
愛しい旦那様の一日疲れをほぐすのは奥様の仕事だから、私はこの所マッサージの仕方を南方先生に教わっていたりする。
元々肩もみが得意だったのでマッサージも楽勝とばかり甘く見てたらこれが結構難しく、最初の頃は痛がられ怒られていたけれど最近ようやく様になってきたらしい。
今の帯刀さんは本当に気持ちよさそうで、そんな姿を見ていると頑張って習ったかいがある。

「良かったです。今日はいろいろ大変だったから、いつも以上に疲れたんじゃないですか?」
「そうだね。だけど私より夕凪の方が疲れてるでしょ?」
「私なら大丈夫ですよ。結構好き放題してましたし、こうして帯刀さんの傍にいられますからね」

あれだけ帯刀さんに恥をかかせたのに私の体を労ってくれるけれど、私は言葉通りまったくと言って良いほど疲れてはいなかった。
そんな私は柔ではない。
それにこうして帯刀さんと二人だけで過ごせれば、どんな疲れがあったとしても吹っ飛んでしまう。

「私もだよ。でも私の場合は・・・」
「え?キァッ!?」

そう帯刀さんが言ったと同時に腕を捕まれ押し倒されてしまい、帯刀さんが馬乗り状態真剣な瞳で私を見つめられる。
帯刀さんの真剣な瞳はとってもきれいで目が離せられなくて、心臓の鼓動がどんどん高鳴っていく。

私未だに帯刀さんのこと、こんなに恋してるんだね。
そして帯刀さんも・・・。

「本当に私の妻は可愛らしいよ。これだけでこんなに鼓動が高鳴っているなんて」
「だって帯刀さんが、あまりにも格好良すぎるから」
「そう?ありがとう。・・・愛してる夕凪」

私の胸をさわり満足そうにも意地悪っぽく問われ私はそう答えると、笑みを浮かべ甘く囁かれたと思ったら唇は重なりあい激しくなっていく。
何度も重なり合わせても、またすぐに欲しくなる。
そのうちそれだけでは物足りなくなってしまう。

「夕凪は私に何をされるのが一番好き?私は夕凪と一つになることだよ」
「・・・私もです」
「ならそれはしばらくお預け」
「え?そんなの嫌です」

突然の問いに少し恥ずかしみながらも大胆な答えを答えれば、予想とは反して残酷すぎることを言って私から離れようとした。
私はとっさに帯刀さんの腕を掴み、必死にだだをこねる。

なんでそんな意地悪言うの?
私のこと嫌いになったから?

「駄目。これは断ち物。真犯人が見つかるまでの辛抱だよ」
「断ち物・・・。そう言うことなら仕方がないですね。・・・我慢します・・・」

だけどすぐに理由が分かりそれはもっともだと思えたので、本当はもの凄く嫌だったけれど渋々了解した。
お互いの一番を断ち物にすれば効果絶大というか、必死になって真犯人を捜すことが出来ると踏んだのだろう。

予想通りだね。
私だって必死になって、早く真犯人を捕まえる。
明日から頑張ろう。

「良い子だね。なら今夜は手を繋ぐだけにしよう」
「そうですね。それなら・・・淋しくない」

どうやら抱きしめられることも断ち物に含まれているらしく、そう言うことになってしまう。
少し淋しく思う物の、ワガママなんて言える状況だと知っている。
私は帯刀さんの手を強く握った。




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