夢幻なる絆

□10.若き御家老の弱点
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「チナミちゃん、私のせいでごめんなさい」
「え、小松・・・?あっ・・・」

分けも言わず私はただ頭を下げて潔く謝ればチナミちゃんは初めきょとんのする物の、すぐに気づき四神達を見て顔色を悪くする。
明らかに脅えていて、チナミちゃんらしくもない。

「四神達は私のためにやったことだから、許してあげて下さい」
「小松・・・オレも少しばかり言い過ぎた。お前が四神の神子だったとはな。でも四神はあいつが・・・」

四神達が怖いのか私の熱意伝わったのかは考えないことにして、割合早く和解できたけれどやっぱりチナミちゃんはゆきのことを心配する。
チナミちゃんはゆきのことを好きなのだから当たり前だと思うけれど、それでも私にしてみれば嫌な気分。

大体四神はゆきより私を選んでくれたし、もしゆきに託したって無駄にしていた。
そうなっていたら、きっとこの四神達はここにはいない。
そんなの絶対に嫌。
ゆきのことは以前よりかは嫌いじゃないけれど、ああ言う絵に描いたような優等生は好きになれない。

「チナミ、私達にだって意思はあるのです。凪を選んで、何が悪いのですか?」
「いえそう言うわけでは・・・。ただあいつは自分達の世界を戻すために、四神を懸命に集めているのです」
「私達を集めても神子の世界は元に戻るわけないだろう?あやつに騙されたのだな」
「疑うことも知らず勘のない無垢な白龍の神子」
「同情はするが、助けることもない。八葉が入れば、大丈夫だろう?」

深刻そうにチナミちゃんは言うのだが、四神達は薄情なこと答えるだけ。
私の時とは正反対でずいぶん素っ気ない。

確かに四神達にだって、意志はバリバリある。
もし私がいなかったら、四神達はゲーム通りだったのだろうか?



「あ、チナミ。目をさましたんだ。おはよう」

偉く落胆してしまったチナミちゃんは言葉をなくし私も嫌だからこの件は触れないでいると、梅さんと何かをしていたマリアちゃんが戻ってきて私の隣に座った。
なんだか随分ご機嫌である。

それにしても、おはようか。
いかにも可愛らしい言い方だ。

「マリアか・・・」
「チナミ、元気ない?」
「少しな。それよりマリアはどこに行ってたんだ?」
「内緒」

あんまり他人に心配されたくないのか話を早々に切り替えるのだが、マリアちゃんらしくもなく隠されそれ以上の会話は終わる。
マリアちゃんが秘密にするなんてこれが初めてだからちょっと意外で驚く私だった。

だけど良く考えれば誰にだって、秘密にしたいことがあってもおかしくはない。
事実私だって「私にとってはここが二次元」ってことは秘密にしている。
帯刀さんと四神達以外には、一生言うつもりもない。

チナミちゃんにもそれは分かるらしく、怒らずにそれ以上追求はしなかった。
ただ新たなる会話はなかなか上がらず、私が苦手とする沈黙状態が続く。
無理矢理話題を探すのだが、こう言う時に限って何も見つからない。

誰かネタを下さい。



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