夢幻なる絆

□10.若き御家老の弱点
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「できるよ。マコトのことは私達が絶対助け出す」
「その自信は予知能力と言う物から来てるのか?」
「そうだよ。それに私には心強い仲間がいるから」

胸を張りあの時以上に力強く答えチナミちゃんは圧倒するけれど、更なる問いにも同じような口調で答えた。

そう私は一人じゃないから出来る。
一人だったら未来が分かっていても、確実に何も出来ない。

「分かった。お前のその言葉を信じてみる。兄上を助けて欲しい」
「ありがとう。よろしくねチナミちゃん」

ようやく私を信じてくれたのかそう言いながら頭を深く下げられ、直接お願いされたので私は笑顔になって頷き手を差しのべる。

これでまた心強い仲間が一人増えた。

「チナミもお兄ちゃんは大切なんだ」
「ああ、兄上はオレの憧れだ。お前もか?」
「うん。私の知らないことをなんでも知っていて出来る自慢のお兄ちゃん」

お互い立派なブラコンであるため、意気投合と言った感じで話は盛り上がる。
この分なら仲良くなるのに、そんな時間は掛からないと思う。
とにかくそれは美味しい光景で、微笑ましくてよだれが出てく来て止まらない。

それにしても二人ともあんなに生き生きと目を輝かしてちゃって、そこまで慕われている渓とマコトにとっても可愛い妹弟なんだろうね。
私にもあんな弟じゃなくって、こんな妹弟がいたら良かったのにな。
そしたら私も精一杯可愛がる。
どこに行くのも一緒で、あんなことやこんなことを・・・。


「おい、小松。お前は変態か?」
「え・・・はっ!!」

チナミちゃんの鋭く呆れきった問いに、私は現実世界引き戻され我に返る。
言葉通り変態を見る冷たい視線が私に向けられていて、何も言えない私は嫌な汗をダラダラと流す。

私は一体なんの妄想をしかけていたんだ?
今さらながら自分が恐ろしい・・・。

「凪、大丈夫?」
「マリア、こいつの心配などしなくて良い。と言うかなぜ心配する?」
「?だって凪の顔が真っ青だから。それに凪は私を見ている時、たまにああ言う顔をする」
「・・・・・・」
「・・・お前は馬鹿か?」
「ひぃーごめんなさい」

それでもマリアちゃんは分からないようだったけれど恐るべき現実を当然かのように付け加えられてしまい 、私はますます顔を真っ青にさせ言葉を失ってチナミちゃんの特大な雷を素直に受け謝り泣いた。

こんな変態でしかない行為、怒られて当然のこと。
私は何て言う目で、無垢な少女を見てたんだ?
人として最低失格。

「お前もそんな目で見られてたら、少しぐらいは警戒しろ!痛い目を見るぞ」
「どうして?凪は幸せそうだし、殺気は感じられない。凪は私を苛めたりしない」

何も悪くないマリアちゃんに怒ってるかのように厳しい指摘をチナミちゃんは言い捨てるが、マリアちゃんは私の腕を掴み強く言い返し視線を背けた。
変態の私を庇ってくれるなんて、マリアちゃんが天使に見えくる。
嬉しいけれど、なんだか申し訳ない。

「そう言う問題ではないだろう?確かにそう言う意味では、小松は夢の屋と同じで無害だろう。だがしかし世の中の変態の大半は危ない奴だ」
「え、私、夢の屋さんと同じ分類なの?嫌だよそんなの!」
「同じだ。馬鹿!!」

チナミちゃんの言葉が気に喰わなくって嫌そうに反論してみれば、それは一切聞き入れられず怒り声が木霊する。




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