夢幻なる絆

□10.若き御家老の弱点
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「凪、このおにぎり美味しい」
「ありがとう。マリアちゃんの玉子焼きも美味しいよ」

お天気が良いのでお弁当を作り南方先生お気に入りの丘で、四神達とマリアちゃんとで楽しい昼食タイム。
たかがおにぎりと玉子焼きなのに、それでも私達は誉めあいご機嫌だった。
外でこうして楽しく食べると、不思議と美味しく感じる。

実際は形が変形しているおにぎりと、やたら甘過ぎる玉子焼き。
甘党の私にしてみればちょうど良い甘さなんだけれどね。
マリアちゃんもどうやら私と同じで、料理は苦手らしい。
まぁマリアちゃんの場合はまだ14歳なんだから、奥様している私とは違い下手でも当然なのかも知れない。

「ありがとう。ねぇ、凪。兄弟はいる?」
「うん、弟と可愛い妹がいるよ」
「大切?」
「そうだね。もし二人が何かに悩んでいたら、一緒に悩んで解決策をみつけたいな」

何を思ったのか突然の親身な問いにも関わらず、私は素直な気持ちを答えてマリアちゃんに微笑みんで見せる。

この世界に来る前の私達姉弟の仲は普通より悪かったけれど、弟の人世相談を受け無事解決してからは仲が良くなった。
雪ちゃんは可愛いし。
でも仲が悪かったとしても、姉弟は大切だったかな?

「私とお兄ちゃんもお互いに大切に思っている。でも祟のお兄ちゃんは祟に意地悪で、祟の気持ちを分かろうとしない。祟のお兄ちゃんは偽者で怖い人なんだ」
「・・・マリアちゃん」

悲しそうにマリアちゃんが言って、私はようやく確信を持った。
マリアちゃんのフィアンセは、私が知っている祟くんだって。
確かに瞬は祟くんを粗末にし過ぎて弟の不始末ぐらい兄であるあんたが取れ思うんだけれども、ゆきにベタぼれだって知っているからそう言う気持ちはある程度分かる。
でもやっぱり実の弟を見捨てるなんて酷い。

なぜ神子も八葉もやっかいごとは、いつでも隠したがるんだろう?
隠したってちっとも相手のためにならない。
って言うか余計に相手を心配させてしまう。

結局人間なんて馬鹿だから、私のように気づくまで分からないのかな?

「だから私とお兄ちゃんが、祟の家族になってあげた。私はずっと今のように、三人で仲良く暮らしたい」
「そうなんだ。でもそしたらマリアちゃんは渓と祟くんに隠し事をしたら駄目だよ。一人で悩んでいても、絶対に良い解決策なんて見つからないんだからね」

マリアちゃんはマリアちゃんなりの立派な考えを持っていたから、私は身をもって学んだ教訓を助言をする。
相手を親身に思っているのならなおさら。

それにしても基本他人に結構無関心なマリアちゃんがここまで嫌うなんて、それだけ祟くんのことが大好きなんだな。

「そうなの?」
「マリアちゃんだってどんなことがあっても隠し事されたらいやでしょう?そう言うことだよ」
「うん、分かった。そうする。凪、教えてくれてありがとう」

ちゃんと私の言いたいことを理解してくれたらしく、納得の言った明るい声をだし頷いてくれた。
これで素直で純真なマリアちゃんは、そう言う過ちをすることはない。

「どういたしまして。マリアちゃん、私も出来るだけ力になってあげるから、なんでも話してね」
「うん、時が来たらなんでも話すから」
「そうしてね」

ってマリアちゃんは意味深なことを言ったけれど、私にはどう言う意味か分かったから何も聞かず温かく見守ることにした。

マリアちゃん達の味方をすることは、やっぱりゆき達の敵になるかも知れない。

・・・そう言う運命なのか?




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