夢幻なる絆

□10.若き御家老の弱点
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宴会も終わりに近づいてきた頃、男性共はお酒に溺れてへべれけになっているのに、まだ呑むペースは衰えず大盛り上がり中。
宴会の時は大概そうで、最終的には凄いことになる。
私も良い具合に酔ってきたけれど、このぐらいならまだまだ平気だ。
ちなみに南方先生はダウンして部屋の隅で熟睡中。

「お酒はそんなに美味しい?」
「うん。大人の味だから、マリアちゃんも大人になったらわかるよ」
「ふ〜ん。でも私は好きじゃない。お兄ちゃんの人格が変わって、しつこくなるしお酒臭い」

子供ならではの率直な意見に、私の笑顔はひきつらせ呑んでいたお酒を止めた。

ここまで言われて呑んでいられるほど、私の神経は図太くない・・・と思う。

「なら私達は庭に行って四神達と遊ぼうか?」
「うん、遊ぶ」
「咲ちゃんも行こう?」
「そうですね。変に絡まれると面倒でございますからね」
「駄目だよ。夕凪は私にお酌をしなければ」

咲ちゃんも酔っ払いの被害にはさんざんあっているらしく、結構きついことを言いながら席を立つが私は帯刀さんに引き留められる。

マリアちゃんじゃないけれど、私も酔っ払いの帯刀さんは苦手です。
どSがさらに増して半端な所で寝てしま・・・私もよく同じことをするからおあいこ?

「マリアちゃんもお兄ちゃんのお酌をしなければいけません。こっちにおいで 」
「・・・はい、分かりました」

渓も相当酔っているようでおかしな言葉遣いですマリアちゃんを引き留め、マリアちゃんは悲しそうにな小声で頷き渓の隣に座る。

渓のことが大好きだから断れない。
マリアちゃんもいろいろ大変なんだな。

「なら私も残りますね」
「ありがとう。咲ちゃん」

こう言う時の咲ちゃんは、いつもながら女神様に見える。
友達と言うのはありがたい。

「私の可愛い妻。愛しい旦那様にお酌をしなさい」
「凪、俺のも御家老の次に宜しくな」
「それじゃぁ、俺のも」
「それは駄目だよ。夕凪は私だけの物。誰にも渡さないよ」

早速帯刀さんに肩を抱き寄せられお酌の要求をされていると珍しく西郷さんに言われついでとばかりに龍馬にも言われるが、そこは酔ったとしても帯刀さんで私を独占し抱きしめ口づけもされる。

・・・お酒臭い。

「帯刀さん、呑みすぎですよ。これ以上呑んだら一緒に寝ませんからね」
「馬鹿なこと言わないの。私のこの温もりがないと、君は寝られないのでしょ?」
「そんなことないですよ。シロちゃんを抱いて寝ますから」

帯刀さんの体が心配で少し意地悪を言うとうまい具合に交わされ強く抱きしめられるが、すでに回答は分かり切っていたので更なる意地悪を言う。

酔ってなければシロちゃんの身が危ないけれど、今なら何を言っても大丈夫。
なんせ明日になれば、きれいさっぱり忘れているんだから。

「シロね。夕凪は私よりシロが好きなの?だから四神の神子になったんだね」
「そうだって言ったらどうします?」
「どうもしない。でも夕凪は誰にも渡さない。私だけの者だよ」

そんなわけないのにわざと試すように答えてみると、帯刀さんは耳元で強くそう囁き眠りにつく。
最近の酔いつぶれるパターンで、ようやく静かになってくれた。

「龍馬さん達もご就寝です」
「お兄ちゃんも寝た」

酔っ払いは行動パターンは同じなようです。

「なら野郎共はここに放置・・・今は冬だから毛布ぐらい掛けとくか」

いくら最愛の旦那様であってもこう言う時は粗末に扱ってもバチは当たらないと思ったけれど、風邪なんか引かれたらたまったもんじゃないからそう言うことにした。
明後日は和の宮様を警護する日だし。

「なら梅さんにもらって来る」

とマリアちゃんは言って、元気良く部屋を飛び出していく。
元気が良いことは何よりだ。




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