夢幻なる縁
□1章 二代目四神の神子
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「早く思い出すと良いですね?」
「そうだね」
「所で帆波先輩はコハクのことどう思いますか?」
「え、コハクくん?」
「はい」
二回目の突然な質問。
しかも真顔で問われてしまい、この様子からして私とコハクくんの溝が大きいことに気づいたらしい。
誰が見たってコハクくんの私への避け方は異常でな物で、逆に今まで誰からも問われなかったのが不思議なほど。
きっと空気を読んでいたんだろうな。
「やっぱりコハクくんは私の幼馴染みなんだと思う。でも嫌われてるみたいだから、私も他人のふりをしてるだけ」
「そうなんですか? でもコハクは記憶喪失だから覚えてないはずですよ」
「それでもやっぱり私は嫌われてると思うよ。だって言ってたじゃない? オレが財閥家のお嬢様と知り合いじゃないって」
「あ……」
出来るだけ明るく事情を話しては見たけれど、内容が内容なだけに気まずい空気が流れてしまう。
やっぱりこんな話を梓には話すべきことじゃなかった?
……そうだよね。
梓は優しい女の子だもんね。
「梓、ひょっとしてコハクくんが好きなの?」
「違います。私とコハクは親友です」
空気の流れを変えるべく構ってみるけれど、なんの迷いもなくはっきりと否定する。
こんな否定するって事は本当にコハクくんを親友としか思っていない。
コハクくんが可愛そう。
「じゃぁ私も九段さんも親友と言うことにしといてよ」
「え〜、帆波先輩と九段さんはお似合いですよ?」
「私と九段さんはそんなにお似合い?」
理不尽だと思いつつ、なんとなく聞いてみる。
そんなに九段さんを推している理由を知りたい。
理由によっては恋愛対象として考えるのも悪くない。
九段さんとは話も嗜好も合うし、何より一緒にいて楽しいと思う。
それに九段さんならいろんな意味で、お父さんとおじいちゃんにも勝てる気がする。
「はい。だって九段さんと話している帆波先輩は楽しそうで可愛らしいですよ。ほのぼのカップルみたいです」
「そうかな? さあて成分の分析は終わった……何これまだ2%しか解析できてないじゃない?」
予想以上の恥ずかしい内容に照れ隠しするためデータを確認するが、ありえないほどのスローペースに首を捻り思わず声に出してしまった。
いつもだったらこのぐらいの分析程度の十分も掛からないはずなのに、まさか調子が悪いとか故障とか?
だけど見た感じ頑張って正常に動いている。
「朝まで様子を見た方が良いんじゃないですか?」
「そうみたいだね? それにしてもスーパーコンピューターを悩ませるロンド。藤堂コンシェルンは恐るべし」
梓に言われてため息交じりでそうすることにして、仕方がなくやりかけの武器開発を再開する。
それにしても自働人形やロンドと言い凄すぎる技術力を持っている藤堂コンシェルンに夢中になりそう。
私もいつかそこで発明しまくって、歴史に名を残す科学者になれたらいいな。
やっぱり私には恋愛はまだ早い気がする。
確かに尚哉さんの事が気になるけれど、それは本当に何に対して気になるんだろうか?
ねぇあなたは一体何なの?