夢幻なる絆

□その後
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そして当日

「細かく砕いたチョコよし、芋焼酎よし。砕いたクルミに松の実よし。まずは湯煎でチョコを溶かして」

一人にしてもらった台所で早速バレンタインチョコ作りを始める。

どんなチョコを作ろうかといろいろ考えた結果、せっかく型があるんだから無難なチョコを溶かして固め少しナッツ系と芋焼酎を入れるだけにした。
失敗しようがない。

と思ったけれ何せ私なのだから苦戦しつつも一生懸命帯刀さんのことを想いながら作り後は固めるだけになるが、

「うっ、何このありさま? 」

辺りを見回せばすでに惨劇が起きていた。
急いで片付けないとこれから夕食を作るだろう梅さんに迷惑をかけてしまう。

割烹着を来ていたから着物には影響がないものの、手鏡を取り出し顔を見ればチョコまみれ。そして帯刀さんも映ってます。

「え、帯刀さん?おお帰りなさい」
「ただいま。一体何をしてるの?」
「お菓子作りです」
「そう。派手にやらかしたね?」
「今から片付けます。今日は早かったんですね」

呆れ果ててる帯刀さんがそこにいて弱冠冷たい問いに、ちょっと凹みながらも正直に答えながら片付けを始める。
言葉通り今はまだ日も傾いていないのに、なんでこんなに帰宅が早いんだろうか?
嬉しいけれど今日は嬉しくない。

「今日はバレンタインだから最愛の妻と買い物と食事に行こうと思ってね?」
「え、帯刀さん知ってるんですか?」
「ウィル先生に今日は男女が愛を確かめ合う日なんでしょ?夕凪を知ってるということは、その菓子は私のためだね?」
「はい。後は固まったら出来上がりです」

私とは違い本場のバレンタインデーを知っていて、私がやってたことも見抜かされてしまう。
今さら隠す必要がないと判断した私はまだ固まっていないハート型のチョコを帯刀さんに見せる。

「ありがとう。だけどそれじゃ私を食べて下さいと言ってるものだよ」
「え、まぁ……別にそれはそれでも良いですけど……」
「そう、それじゃぁ、いただきます」
「っ!?」

すっかりご機嫌になった帯刀さんは急に甘く耳元で囁き私は真っ赤にほほを染め小声で頷くと、鼻のてっぺんについているチョコを舐め今度はほっぺた。
聞きなれているはずのエロい音が耳に付き酔いそうになる。

「美味しいよ。だけど私にはやっぱりこっちの方がいい」

ってよく分からないことを囁いた直後の口づけはどんどん激しくなり、その後はよく覚えていない。
ただ

「愛しているよ私の可愛い夕凪」

いつも以上に情熱的な愛を囁かれ続け、心地よかったことは覚えている。



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