夢幻なる絆
□15.遙かなる時空の中で
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バシッ
我が家に戻ると帯刀さんが仁王立ちをしていて、頬に手加減なく平手打ちをされました。
そして雷が落ちるわけもなく黙って外に行ってしまう。
怒られる方より効果は抜群で、自分のアホさを改めて反省する。
頬の傷みより心が痛い。
・・・だけど私の行動は間違っていない。
「我らの神子を叩くのなどありえん。我が懲らしめてやる」
「我も加勢するよ」
「同じく」
「三人もと止めなさい。帯刀は凪が心配だったのですよ。凪帯刀を追いかけて謝ってきなさい」
「そうだな。それにあれは怒ってるより自分の無力さを悔やんでるんだろう? 凪が自分を置いて行ってしまったことに」
当たり前のように青龍白虎玄武はお冠で何をするか分からない勢いになる中朱雀はそれをセーブし私に助言をすると、ヒノエさんはちょっと違う視点からの意見を教えてくれる。
自分の無力さに悔やんでいる?
自分を置いて行ってしまった。
だって帯刀さんは怪我人だからこれ以上無理をさせたくなかったから。
「帯刀さん、待って下さい」
お馬鹿な私が考えても分かるはずもなく、帯刀さんとよく話し合うため後を追いかける。
「帯刀さん、帯刀さん。返事をして下さい」
さっきから名前を呼びながら追いかけてるんだけれど、追い付かないし返事をしてくれない。
もう半泣き状態でどうして良いか分からなくなりそうで、体もだんだん重くなるような気がした。
そしてお決まりのように派手に転けると流石の帯刀さんもこれには振り向き最大級のため息をつき戻ってきてくれる。
「まったく何をしてるの? 私は怒ってるのにこんなことされたら無視できないでしょ?」
「うっ、すみません。でも帯刀さんがそう言う人で良かったです」
「・・・夕凪はずるいよ。すぐそうやって私の弱いとこを付いて許してもらおうとする。今自分が置かれてる立場理解してる?」
「そそれは・・・」
離縁されるかも知れない。
分かっていても言葉にするのは怖くて黙る。
「私が何度言っても言いつけは守らない。破られる度に私の心は引き裂かれ惨めな気持ちになるんだよ。愛してしるけれど嫌いになって楽になろうとする自分がいる」
悲しそうな表情で本気で言っているのが分かる。
私は大馬鹿だからこれからも同じことを繰り返して、帯刀さんの心を傷つけてしまうんだろう。
だとしたら離縁した方がいいんだろうか?
愛しているから幸せになってもらいたい。
「私は帯刀さんのこと愛しています。これからは帯刀さんや子供のためだけに尽くして生きていこうと思います」
なのに私は自分の幸せを望み思っていることとは逆のことを言ってしまう。
いくら努力したとしても、そんなこと無理に決まってるのに。
「破天荒の夕凪にそんなこと出来るはずないでしょ?でもありがとう。私も愛してる」
すぐに無理だと見抜かされたのに、なぜか微笑みお姫様だっこしてくれる。
許してくれた?
同じ過ちをする私を?
「いいんですか?」
「今度同じことをやろうとしたら監禁するだけだから」
「・・・・」
笑顔で恐ろしいことを当然のように答え、私は凍りつく。
本気なんだろう。
「それがいやなら何があっても私を連れていきなさい。私の傍でならどんなに無茶をしても私が護れるからね」
「はい。解りました」
ただ私を籠の中の鳥にするつもりはないらしく、ヒノエさんの読み通りの約束を求められる。
帯刀さんは何があっても私を護りたい。
例えどんなに傷ついたとしても、それだけは変わらない。
肝に免じてその約束だけは守ろうと思う。
これから先も一生帯刀さんと寄り添い合い歩いていきたいから・・・。