FRAGMENT

□8章 素直のままで
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ヒノエが言う通り、楽しい夢が見ることが出来た。
その夜私は今まで知らなかったことを、ヒノエから教えて貰った。
こう言うことをちぎりを交わすと言うらしい。
ヒノエはこう言うことが好きだって言っていたけれど、私はもうあんまりやりたくない。
そう言ったらそれで良いと言われた。


そして朝。


「おはよう、姫君」

目が覚めるとすぐさまヒノエが目に映る。

私の大好きな人。
いつの間にかヒノエのことが好きから大好きに変わっている。
このことヒノエに言ったら、ヒノエは喜んでくれるだろうか?

「おはよう、ヒノエ」

顔を見るだけで元気が出て来て、昨日まであんなに重い気分だったのに今朝はこんなにも清々しい。
これから毎日こんな朝だったらいいのに。

「違うだろう。オレが教えた挨拶をちゃんとやってごらん」

怒られたけど、優しくそう言われる。
私は少し考えて後言われた意味が分かり、
そして教えられた通りヒノエの唇に私の唇を重なり合わせる。

唇は柔らかくって甘い。
でもこれはヒノエだからであって、他の人達はそうじゃない。
昨夜あんなにしたのに、まだ物足りない気がする。

「ねぇヒノエ。今日も私と一緒にこうして寝てくれる?」

口づけが終わった後、私は思いきってそう尋ねてみた。

「今日も?一緒に寝るってことは、ああなってもいいんだな」
「……それをやれば寝てくれるんなら、してもいいよ」

本当はやだったけど、それで寝られるんならいい。
それに本当は気持ちいい時もある。
少しだけだけど。
だからやってもいい。

「駄目だよ。ああ言うことはちゃんと意味を理解してからやんないと。昨日はごめんな」

なのになぜかヒノエは誤ってくる。

それに私がいいって言うのに、どうして駄目なの?

「それって私が嫌いだから?」
「その逆だよ。愛しているから、お前のこと誰よりも大切にしたいんだ」
「良く分かんないけど、ヒノエがいうんだからそうなんだね。なら分かったらまた一緒に寝てね」

あまりにもヒノエの顔が真剣だったので、今回は我慢することにした。

確かに昨日のことの意味が分からない。
意味がちゃんとあるんだね。
だったらヒノエの言う通り、ちゃんと意味を知った方がいい。
朔なら知っているかな?
後で朔に聞こう。

「ああ。約束だよ。じゃぁみんなの所に戻ろうか?」
「うん」

そう言って私達はみんながいる高館に戻る準備をした。






そして日が暮れる頃私達が高館に帰り着くと、ヌクは門の前にいた。
だが
私を見つけるとなぜかそっぽを向き、邸の中に入ってしまったのだ。
あまりのことに私は分けが解らずヒノエの顔を見たが、すぐにその意味が分かってしまった。

私、ヌクに嫌われた?
でもどうして?

「ヌクは金がいるから、私のこと嫌いになったんだね」
「なんでそう言う結論になるんだい?」
「だっていつもだったら」

真っ先に私の元にやって来てくれたのに、今日は冷たかった。

「違うよ。ヌクはオレ達をただ怒って拗ねてるだけだよ」
「どうして?」
「ヌク一人だけ置き去りのしたからに決まってるだろう?」

ヒノエはしょんぼりする私とは違っていつもと同じ笑顔だった。

ヌクが拗ねてる?

「それは金と遊んで」
「まぁその方がオレには好都合だけどね。お前を完全にオレだけの姫君に出来るからな」

そう言って私を抱きしめ、最後の台詞だけ私の耳元でゆっくりと誰にも聞こえないかすかな声で囁いた。
その瞬間いつも高鳴っているだけの鼓動が弾けてしまい、ヒノエから無理矢理放れてしまった。
体中が熱くなり突然ヒノエが見れなくなってしまった。

前にもこんなことあったけど、今回はそうじゃない。
だって私はヒノエが大好きで今だってそう。
だけど怖くて顔が見られない。




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