遙かなる異世界で
□1章
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「松寿丸様。私達が許嫁なのはやはり父様が織田信長だからなのでしょうか?」
「だろうな? しかし今の俺は人質の身である以上、そう遠くはない未来解消されるだろうな?」
「そんなことになったら私は父様を恨みます。今はまだ幼く力もないですが、必ず強くなり女将軍になります。父様には文句なんて言わせません」
「八重は相変わらず面白いことを言う。そこまで言うのならば、実現して見ろ。俺よりも強くならば俺が八重の婿養子になってやる」
本気でそう思い宣言したはずなのに、幼女の戯言にしか捉えられずそう言い返され抱き上げられる。
いつも通り子供扱いで相手にされていないけれど、抱っこされるのは嬉しいな。
確かに今の私は六歳の童でしかないけれど、私は前世の記憶を持っている。
前世の私は前世なのに未来の住人。中一までの記憶がないから短い人生だった。
だから松中身は寿丸様より年上で年下に恋心を抱くのはどうかと思いつつも、松寿丸様はしっかりしていて芯がある男の人だった。
きっと戦国時代の武士の少年は、男子中学生より大人びている。だからおかしくないはず。
「絶対に約束ですよ」
「ああ。だが俺も強くなる。八重よりもな」
と松寿丸様は自信満々と言い切り揺るぎのない瞳で私を見つめる。
鼓動が高鳴っていき恥ずかしくなり、松寿丸様から視線を反らしてしまう。
しかし私の思惑は、それとは別にもう一つの理由があった。
ピビピッ
目覚まし時計が鳴ったと同時に目が覚める。
この懐かしい夢を見たのは、やっぱり今日が運命の日だからだろうか?
私は今日と言う日のために、七緒とこちらにやって来たあの日から強くなるために努力をした。
祓魔師になって功績を残しているんだから、足手まといにはならないはずだ。
「きっと大丈夫。大丈夫」
と強く思うもまだ少し不安で、十字架のペンダントを握りしめる。
松寿丸様からの贈り物。
一体どんなつもりで贈ってくれたのかは知らないけれども、私にとっては大切な御守り。
これがあったから私はどんなに辛いことがあっても乗り越えられて来た
しかし遙かクラスターで独身アラフォー女だった私の来世が遙か7の世界しかも七緒の双子の妹と言うゲームにはないオリジナルだとわ。夢女であった私でも思い出した時は、腰が抜けるほど驚いたことを今でも鮮明に覚えてる。
元々前世の記憶を持っていたけれど、まさかそれが中途半端だったなんて夢にも思わなかったよ。
これも龍神様のお力なのか?
ここが遙か7の世界だと知ったのは 、あろうことか本能寺の変の真っ只中。
信長こと父様から白龍の逆鱗を使って時が来るまでなおと逃げのびろと言われた瞬間、中学生から死ぬ寸前の記憶が一気に思い出した。
混乱しつつも私はなおを連れ安土城に向かいゲーム通りこの現代にやって来て、五月お兄ちゃんに拾われ天野八重として表向きは普通の女子高生として暮らしている。
隠しネタを暴露すれば『青の祓魔師』の世界とも繋がっていて天野家も少なからず関わってくれた縁で、私は中学生の時に祓魔師になることが出来た。
大和にも祓魔師になろうよと誘ってみたけれど、言うまでもなく断られたんだよね?
大和なら凄腕の祓魔師になれたかもしれないのに勿体ない。
そして今日は高二の三学期の終業式。
遙か7のゲーム開始日である。