遙かなる異世界で
□1章
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「大和はともかく五月は大丈夫かしら?」
「ジャンヌは平気なの?」
「もちろん驚いたけれどもつじつまはそれなりに合っていてるし、戦国時代に似た世界の織田信長の娘となれば許婚がいてもおかしくはないからね」
一方ジャンヌだけがケロっとしていて不思議に思い聞いてみれば、冷静過ぎる百点満点の模範回答をされ逆にの見込みが早くてただ単に感心するだけ。
魔女だから人より順応性が高いから、こんな話でも信じてくれる?
いずれにしろジャンヌとは一生涯の友達でいたい。
……一生涯の友達……か。
「とにかくこの手紙に書いた通りにしてもらえれば、怨霊による災いはなくなるかと思います。ただ人同士の争いは龍神は無関係です」
「それでいい。後は俺が責任を取って動くから安心しろ。八重はなお姫と供にこの世で幸せに過ごせるよう願っている」
「私も長政様のご活躍とご無事も祈っておりますね」
徐々に寂しくなり溢れそうな涙をグッとこらしめながら、長政さんの話に合わせ私の気持ちを悟られないよう無理矢理笑う。
「八重」
「はい?」
「いいやなんでもない。武蔵、ここには用がもうないから帰るぞ」
突然せつなげに名前を呼ばれるが返事をしたのに、何か言いたそうにも何も言われず武蔵にそう言い席を立つ。
「それでは私も。いろいろとすみません」
ゲームではザーザーぶりだった雨はなぜか雨は止んでいる。
しかも夕方だから泊まっていってと引き止めるのはおかしくて、私自身今日のことはきれいさっぱり忘れたいと思っている。
「いいえ。こちらこそお役にたてなくてすみませんでした」
「良いんだよ。あんたたちはここで幸せに生きていれば。……私もここで生きていこうかな?」
『は?』
「私は戦うのは好きじゃないからね?」
「そう言うことなら、ここは平和ですからお薦めですよ。両親に言えば、なんとかしてくれるはずです」
いかにも阿国さんらしい理由にすごく納得が出来て、私もそう言って賛成する。
お兄ちゃんはしばらく私の良いなり子分だから、反対の気持ちがあっても反対はしないだろう。
阿国さんがいなくなってもたぶん影響はないだろうから、少なくてもここならバレることに怯えることはない。過去にうなされることは合うかもだけど。
しばらくは神社の手伝いをしてもらって、ここでの暮らしになれたらしたいことをすればいい。
「そうかい? 恩に着るよ」
「阿国がそう決めたら俺は何も言わない。達者でな」
相手が幸村だから止めることなく阿国さんを応援してくれ、今度こそ洞窟まで行って永遠の別れを告げる。
「ではみなさんを洞窟までお送りします」
「いいや。見送りは無用だ」
「え? そうですか? ではさようなら」
なぜかお見送りを拒まれしまい、その後すぐに三人だけで帰ってしまった。
こうして私の知っている遙か7の物語はあっと言う間に終わってしまったが、ゲームと違って天野八重と言う人生はこれからも続いていく。
そして思わぬ方向に運命は動き出す。