夢幻なる縁

□3章 四神の作り方
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「それにしても軍は一体何を考えてるんだ? また権力を取り戻したいにしてもちっとやり過ぎじゃ?」
「陰陽術と科学の融合なんて、両方の知識と技術がそれなりにないと作れないはず。そんな技術を軍が持っているのかな?」

 いくらなんでも軍にすべての濡れ衣を着せるのは可哀想だから、理屈を並べて真犯人は別にいると思わせる。

 犯人は博士なのだから嘘は付いていないけれど、本当のことも言えないけれど。

「言われてみれば確かに。……と言うか帆波の自作自演とかじゃねぇのか?」
「は、んなはずないでしょ? あんた私に一体なんの恨みがあるの?」
「そうですよ。帆波さんに失礼です」
「そうだよ。姫ちゃんはそんなことをするような人じゃない」

 考え方としては間違ってはいないけれど、そこでわざと私の名が上げるのには悪意しか感じられない。
 もし私が犯人なら黙って高みの見物をしている。

 幸い虎の推理など誰も信じず私の味方をしてくれるから、これ以上相手をするのはバカらしいので辞めた。

「陰陽術と科学をよく知るもの。あるいは二人の共同製作。村雨そういう情報を耳にしてないか?」
「さあな。一応調べては見るが、あまり期待しないでくれ」
「分かってる。私の方……軍関係や政府は帯刀に任せた方がいいね?」

 やっぱり犯人探しになり元情報屋の村雨さんの情報網に怯えつつ、肝心の方はおじいちゃんに託されるからそこは安心する。

 博士、ボロなんか出しませんよね?
 出してたら終わりですよ?

「それじゃぁ、私達は今やるべきことをやりましょう? 呪詛の箱捜しと今まで通り怨霊退治で良いのよね?」
「うん。呪詛の箱がありそうな場所は……上野公園か。怨霊もいるみたい」
「ならそれは私が討伐します」

 神子達は自分の役目に張り切っているようで、次に行く場所はすぐに決まった。
 それか村雨さんとおじいちゃん達に全委託しているからかもしれないけれど、そう言うことなら私も全力でサポートする。
 ついでに博士にも探りを入れて黒龍との交渉に使えるカードを見つけ出す。

「なぁ帆波。大切な話を二人だけでしたいのだが……」

 私は私で重大なミッションに燃えていると、深刻な顔をした九段さんに声をかけられる。
 ついさっきまでいつもと変わらずのほほんと優しい表情をしていたのに、一体何かあったのか気になり了解し……ひょっとして何か気づいてしまったんじゃないだろうか?

 星の一族は時として勘が鋭い。
 そして私もこう言う時の勘は働く………。

「分かりました。今すぐ話を聞きます。悪いんだけれど先に行っててくれる?」
「そうね。帆波、九段のことよしくね」

 こういう火種は火種のまま終わらしたいからみんなと別行動を取ると言えば、何かを悟ってくれた千代は変に茶化されずスムーズ話は進んで私と九段さんはみんなを見送っ……コスモと青龍は当然のごとく残っている。
 
 当たり前だよね。
 
「青龍は札に戻って、コスモは犬に戻れる?」
「承知」
「戻れるよ」

私から妥協してそう頼むと意外と素直に頷いてくれ、青龍は札になり私の懐へコスモは犬に戻ってくれた。


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