夢幻なる縁
□3章 四神の作り方
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「いつかは何やらかすとは思っていたが、まさか神を作り出すとわな。流石天才科学者」
「一応誉め言葉に受け止めます。ありがとうございます」
八葉達にコスモの事情を話せば皆さん驚きを隠せず唖然となって私を見る中、村雨さんは頭をかきながら呆気に取られた本音を漏らす。
一体全体何をやらかすと思っていたのか追求したいけれど、あんまり八葉と険悪ムードになりたくない。
険悪するのは虎だけで十分。
「そうしてくれるとありがたい。しかし状況は思ったよりよっぽど深刻だな。怨霊の浄化だけで大丈夫なのか?」
「それもそうですね? 黒幕の正体」
「それはおじいちゃんとおばあちゃんに任せましょう? 二人が本気を出せば帝都は一つになるはずです」
そこはやめて欲しいので、少し大袈裟に言って完結させる。
「確かに凪の言葉なら鬼の一族も耳を傾けるだろうしね。虎でさえ凪には一目置いてるからね」
「余計なこと言うんじゃねぇ? ってかあんなクソババ一目置いてるんじぇなぇからな」
意外な形で食いついてきたのはダリウスさんで、しかもレアな情報を話してくれた。
虎は顔を真っ赤に染まらせ激怒するけれど、多分それは真実なのだろう。
虎の弱点を見つけちょっと得した気分。
もし何かあったらおばあちゃんに助けてもらおう。
「なんだよ。その勝ち誇った不気味な笑みは?」
「別に。それじゃ千代、今日はよろしくね」
「ええ、こちらこそ」
虎の睨みをスルーし話をこれからやるべきことに戻す。
千代もヤル気満々だ。だから怖い。
もう黒幕を探すなんて言わないで下さい。
私が絶対に何とかします。
「私ももちろん頑張ります。まずは帆波先輩が箱を調べ」
「おや、皆さんお揃いで。なんの話をしてるの?」
「藤堂さん?」
白々しく堂々と私達の会話に入ってくる博士に、私以外の全員は再び驚き博士に注目する。
何も知らないのだから無理もない。
偶然だと思ったのか?
盗聴機がないから自ら単身で乗り込んできた。
いや、何かあれば萬の防衛機能が働くから心配はない。
「ちょっとここでモーニングをしようと思ってね? ずいぶん真剣な……帆波、その可愛らしい姫君はどちら様?」
「……私の妹?」
それっぽい本当のように嘘を清々しく付く上コスモのことについて問われてしまい、私はとっさに負けじと答えるも疑問系になる。
「え? 藤原財閥の令嬢は帆波だけじゃないの?」
「そそれを言ってもいいですか? 私、尚哉さんの秘密を知ってるんですよ」
すかさず突っ込まれるから、最終奥義を発動させた。
もちろん博士が黒幕と言うことではなく影武者と言う秘密。
あるいは破門された星の一族?
「僕の秘密?」
「藤原財閥と小松家の情報網を甘く見ないで下さい」
「帆波どうしたの? 何か変だよ? あ、分かった。最近構ってあげられなかったから、拗ねてるんでしょ?」
「なんでそうなるんですか?」
少しは警戒するかと思えば、激しい誤解をされてしまう。
頭をポンポンとなぜられ子供扱いされるのに、なぜかそれが嬉しかったりする。
拗ねてはないかけれど、寂しかった。
「じゃぁ今夜藤堂コンシェルツ主催の晩餐会に一緒に参加しよう」
「え?」
「父も出席するから、帆波が来てくれると嬉しいんだ」
「分かりました」
「ありがとう。なら四時にこの前で。僕がコーディネートするからそのままで良いよ。それじゃあね」
いつも通り博士ペースになりギャラリーがいるにも関わらずデートの約束をして気分よく去っていく。
もちろんモーニングは頼んでいない。
「何しに来たんだ?」
「きっと婚約者と会えてよほど嬉しかったのでしょ? 相思相愛のようで良かったですね」
「そうだね? 姫ちゃんも藤堂さんもとっても幸せそうだから、オレまで幸せになっちゃた」
だけどそれを不振がる人はいなくて、特に善ちゃんと秋兄は心から私の幸せを喜んでくれている。
第三者から見ればそう見えるんだろうか?
確かに博士は機嫌よく見えたけれど、それは何にたいしてなのかが分からない。
何か良からぬ企みをしてるのか。
「帆波先輩、私も応援してますね?」
「何を?」
「藤堂さんのこと」
「ありがとう」
何を今さらと思うようなことを梓は言って、キョトンとなるものの感謝する。
そして私達は呪詛の箱か置いてある目的地に向かう。