夢幻なる縁

□3章 四神の作り方
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『帆波、出かした』
「え?」

 どんなどでかい雷が落ちるかと思いきや、どう言い訳か朱雀以外の三人から誉められる。

「これを着なさい。きっとあなたに似合うと思いますよ」
「うん。ありがとう」

 朱雀は朱雀で私が幼い時着ていた服をコスモに渡し素早く着替えさせ、髪も三つ編みに編む。
 赤いワンピースはますます少女の可愛さを引き出させ、お姉さんには目の毒と言っても大袈裟ではない。

「帆波先輩。コスモは最強ですね?」
「梓もそう思う? でもなんで私は怒られないんだろう?」
「怒るわけないだろう? 人の子の言葉で例えるのならば、我らと神子の血を受け継ぐ新たなる四神。この時をどれ程待ち望んでいたと思う? これで帯刀と同等になれる」

 梓に変態だとは思われずにホッとしつつ穏やかすぎる状況を呟くと、白虎は弱冠テイションを上げながらややっこしい話になっていて誤解も生じている。

 おじいちゃんと同等になれるって何?
 私の血だからおばあちゃんとも繋がっているとでも思ってる?
 それは間違ってないけれど、そしたらおじいちゃんとも繋がってるんじゃ?

「白虎、帆波が混乱してます。それにそんな事帯刀に言ったら私達は焼かれてしまいます」
「確かに。それは伏せとこう」

 さまざまな疑問が頭の中で渦巻いていれば、呆れた朱雀の警告で騒ぎは収まる。
 いつも通りの展開。

「帆波、本来ならば人の子が神を創るなど禁忌ですが、消滅した未来の四神を四神の神子が復活させたと言えば問題ないでしょう」
「寛大なご配慮ありがとうございます」

 やっぱりそれは禁忌らしく私とおばあちゃんには甘い朱雀だから許され、私は違和感を感じながらも怒られるのは嫌なので感謝する。

 しかし器と神子の血と神の欠片が融合すれば復活すると言うのならば、未来の白龍もそのやり方で復活できる?

 ……未来の白龍の欠片なんて持ってたっけぇ?

 新たなる課題が増えこれは千代の協力が絶対となった。

「帆波先輩、怒られないで良かったですね?」
「そうね。そんじゃ行こうか? コスモ、いってきます」
「私も行く」

 一応トラブルは解決と言うことで玄関に行くことにしてコスモに言うと、嬉しそうに私の元にかけより腕を掴みそう言いながらドアを開け玄関に急ぐ。

 あの臆病なコスモが一体どんな心変わりをしたんだろうか?
 前向きになってくれたことはいいことだけれど、戦闘中にやっぱ怖いから帰るとか言わないよね?

「怨霊退治に行くんだよ」

 ひょっとして遊びに行くと思っているだけかも知れないので、足を止め念のため教える。

「知ってる。怨霊は思ったより怖くなかったからもう平気だよ」
「そう? なら良いけど」

 今朝の戦闘で何か勘違いしたのか変な自信がついたらしい。
 無駄に張り切るコスモに不安になり駄目と言いたいけれど、せっかくやる気になっているのだからあまり強くは言えず。
 それに四神の力が備わっているんだから、いざとなったらなんとかなるか。




 コスモのことをおばあちゃんとおじいちゃんに話してもそんなに怒られませんでした。

 さすがに小言は言われてたけれど、おばあちゃんなんかもうコスモに心を奪われコスモもおばあちゃんになついてくれたから、取り敢えずめでたしめでたし。



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