夢幻なる縁
□3章 四神の作り方
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「ママ、コスモ人間になっちゃった」
「はい?」
少女の信じがたい言葉に私は耳を疑い声は裏返るけれど少女の近くに粉々に割れたフラスコみつけ、これが音の正体だろう。
そして昨夜現代と未来の四神の欠片を調合した液体が入ったフラスコが消えていた。
未来の四神は消滅しているためどうにかして復活が出来ないかといろいろ試して……そう言えば昨夜謝って私の血が一滴入って化学変化を起こしていた……それをコスモがかぶったと言うことはつまり?
よくありそうな飛んでもないそれだったらすべてに納得がいくある一つの推測が閃いた途端、血の気がさっと引くのが自分でも良く分かり嫌な汗がどっと流れ出す。
私はもしかしてとんでもないことをしでかしたとか?
「ママ?」
「シスター?」
「あなた本当にコスモなの?」
「うん、そうだよ。……ママは人間のコスモは嫌いなの?」
どうしても信じたくはなくって確認にため問えばやっぱり少女は無邪気に頷くけれど、何かを閃いたのかシュンとして小さくなる。
その姿がなぜかコスモの怯えている姿とそっくりで、今なら不思議と少女の言葉を信じられ疑うことを辞めた。
「嫌いじゃない。だからそんな顔しないでよ。ねぇコスモ」
「ありがとう。ママ、大好き!!」
「シスター?」
「…萬、どうやら私はコスモを四神の器にしちゃったみたい」
「え、この少女が? 信じられません」
しかし萬はまだ信じられないようでコスモをガン見するが、コスモは素っ裸だったため慌てて私が着ていた白衣で隠す。
「萬、女の子の裸なんて見ちゃ駄目」
「え、あすみません」
叱られた萬はいつものようにシュンとして謝り背を向けるけれど、本当に叱られた意味を理解しているのか疑わしいものである。
デリカシーがないと言うか分かってないと言うか。
「お兄ちゃん、コスモはそんなに気にしてないよ」
「お兄ちゃんですか?」
「うん」
「帆波先輩、準備はできましたか?」
「梓。私の準備は出来てるんだけれど、ちょっと緊急事態でね」
「緊急事態? え、女の子?」
「あ、黒のお姉ちゃんだ」
梓が呼びに来て扉を開けるとすぐ少女に気付き戸惑うけれど、少女はあどけない笑みで梓をそう呼んだ。
黒龍の神子だから黒のお姉ちゃんなんだろうか?
と言うことは
千代は白龍の神子だから、白のお姉ちゃん?
最高に似合う呼び名かも知れない。
早く呼ばせたい。
「なんですか? この子すごく可愛いい」
「でしょ? 信じられないと思うけれど、この子はコスモ。 四神のDNAと私の血が融合した液がかかってこうなっちゃったらしい」
「え、じゃぁ帆波先輩が母親で四神がち」
「しっ、それは言わないで」
梓も少女のことを気に入ってくれ理解はしてくれたけたけれど、簡潔にそれでいてあんまりよろしくないまとめられ方をされかける。
慌てて口を塞いで警告する物の、それはもうすでに遅し。
別に言わなくても少女が誕生した時点ですでに手遅れなんだけれど、どう言う訳か四神一人も乱入してこない。
………。
まさかいくら四神から愛されているからと言っても、流石に人の子が神を作るのは禁忌なんだろうか?
「帆波先輩、大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ」
「シスター?」
「私は禁忌を犯したかも知れない。四神の神子の分際で新たなる神を誕生させてしまった」
「た確かに」
ことの重大さが良くわかり心配する梓と萬に真相を話すせば、梓は困惑した表情を浮かべ気まずそうに肯定する。
大丈夫だよ。
と言って欲しかったけれど、そんな事言える状況じゃない。
「あ、四神達が来た」
『え?』
無邪気に少女はそう言うとパッとその場が光ったらよりにもよって四人揃って登場。
それぞれ役割があるのに来ると言うことは嫌な予感が当たると思ったら、四人はすこぶる笑顔で少女に注目する。