夢幻なる縁
□3章 四神の作り方
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「これはクローいや青龍。神様が神子の恋路を邪魔するなんて、あまりにも無粋すぎるんじゃないの?」
「黙れ。我らの神子に危害を喰わせる奴が恋路などと語るな。黒龍の奴隷め」
話がまったく読めない中、青龍の怒りはすでに頂点に達し恐ろしくなる。
もちろん私を全力で護ろうとしてくれてることは分かるけれど、博士が私に危害を加えようとしてる黒龍の奴隷って何?
「さすが神様だね。そう黒龍は君達四神と帆波を差し出せば完全に力を取り戻せて、今より楽に開戦させ姫も亜理紗も兄さんも無事な未来に変えられる。だから帆波に姫の記憶を植え付けて、僕に好意を持つように仕向けたと言っていた。でもあの黒龍は本当に酷いよね? 僕と姫の大切な想い出を利用するなんて」
「………」
想像を絶する残酷な現実を聞いた瞬間、胸が痛くて涙も溢れ止まらない。
私の未来での記憶は全部偽物………。
……本当にそうなんだろうか?
私は確かに姫ではないけれど、未来での出来事が偽りだとは思えない。
だけどどっちにしたって博士は愛してくれない。
それでも傍にいられるだけで良かったのに、博士はそれさえ許してくれない。
だからもう……。
「藤堂尚哉、貴様にはつくづく失望した。黒龍の言の葉を信じ愛する人の魂を見抜くことが出来ないとは、いくら帆波が愛していようと我らは貴様と未来の黒龍も敵と見なす」
「見抜く? 確かに帆波は姫は何もかもが瓜二つではあるけど、姫がここに存在するはずがない」
「最悪だな。貴様より萬の方がよほど見る目がある」
「なんでそこで萬が出てくるの? あれはただの人形だよ」
青龍の呆れきり吐き捨てに、憎しみと苦しみの表情を見せる博士。
よほど萬より貶されて悔しかったんだろう。
でも青龍はなんであんなことを言うんだろう?
「博士は私といて楽しくなかったんですか?」
「辛かったに決まってるじゃない。君は何もかもが姫そのものだから、錯覚して正気に戻り傷つけられるんだよ」
「私はそんなに姫と似てるんですか? 姫の他に助手はいなかったんですか?」
「僕の有能な助手は姫だけ。萬は最悪な助手だけど」
「!?」
何かが引っ掛かり胸の痛みを堪えながら、そうゆっくり問えばおかしな答えが返ってきて今度は頭が混乱する。
姫が博士の助手?
助手は私……やっぱり私は姫の記憶を埋めつけられてる?
でも私には姫の記憶がある。
姫は亜理紗さんの妹で…………。
………………。
パキン
頭の片隅にある何かが割れた途端、昔の記憶が私の頭を流れ込み忘れていた思い出す。
私には優しくてきれいなお姉ちゃんがいてどんな時でも金魚のうんちのように付きまとっていた。
お姉ちゃんもそんな私を可愛がってくれていて私達は仲良し姉妹だった。
だから私が四歳のある日目の前でお姉ちゃんが消えてしまい、そのショックで何日も寝込んだのを憐れに思ったの四神達に記憶を封印してくれたんだ。
「ねぇ青龍、私はもう大丈夫だから教えて欲しい。私のお姉ちゃんの名前は亜里沙と言って、未来の黒龍の神子なの?」
「!?」
「正確には帆波の叔母だがな。だから帆波の記憶の一部は黒龍の手にあるが、偽りではない」
「そんなバカな」
「……どちらを信じるかは貴様の頭でよく考えろ。それでもし帆波を信じるならば、我らと帯刀から奪って見せろ」
私の真剣な問いに青龍はちゃんと答えてくれ混乱する博士には冷たく突き放すものの、私を配慮してなのか少しだけ希望を持たせる言い方でもあった。
しかし博士の答えを待たず私を連れたまま瞬間移動で、次に目にしたのは私の研究室だった。