夢幻なる縁

□1章 二代目四神の神子
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「本当にあの時は悪いことをしたよ。あの子は人の痛みが分かって優しい子だったからね。私もまた会いたい」

 おばあちゃんも私と同じ意見で、本当に楽しみにしていることが良くわかる。
 おばあちゃんのためにも頑張って見つけないとね?

「そうそう。おばあちゃんは梓に会ったことあるよね?」
「ええ。四神の力を求めに来た時にね。梓ちゃんも千代ちゃんも可愛いくて優しい子なの。それ以来たまに遊びに来てくれて、今ではすっかり仲良し……だと思う」
「え、千代?」
「白龍の神子の名前。すごく萌えキャラなんだよ」

 すでに梓とは対面済みな上結構交流もあるようで、可愛い子好きのおばあちゃんはすっかり二人の虜のようだ。
 梓の事を知っているからそうう言うのは良く分かるものの、耳を疑りたくなるような名に首を傾げる。

 千代って梓のおばあちゃん名前だよね?
 確かにおばあちゃんよりも年下ではあるけれど、それでも萌えキャラだとは言わないでしょ?
 おばあちゃんの萌えキャラ基準は結構厳しいもん。

「そうなんだ。いくつぐらいなの?」
「帆波と同じぐらいだと思う。私の時は倍ぐらい離れていた上いろいろあったから交流は最低限だったけれど、帆波はどんどん交流して仲良くなりなさい」

 どうやら同じ名前だっただけらしい。
 良く考えれば白龍の神子は汚れなし少女って言われているんだから、孫までいるおばあちゃんが選ばれるはずないか。

 今から私も二人の仲に入れるか心配だけど、梓とは常に仲良しだから大丈夫だよね?



「うん。よしこれでOK」

 ようやく身だしなみも整い終わる。久しぶりの袴姿は新鮮で身が引き締まるようだ。

「いつの間にか帆波も化粧をする年頃になったのね? 余計可愛さが増して、帯刀さんは大喜びね」
「え? あ、そう言えばどうして私化粧なんてしてるんだ?」

 微笑むおばあちゃんに言われて化粧をしている自分にまた違和感をもつ。

 いつも素っぴんで化粧なんてしたことがなかったのに、私はなぜか化粧の仕方を知っていて様になっている。
 ファンデーションにチーク。山桜色の口紅。そこそこ似合っていて、私じゃないみたい。
 でもネックレスの件も含めて、何かがおかしいんだと思う。

「帆波、どうしたの?」
「ううん、自画自賛しているだけ」

 そんな私に違和感を感じたおばあちゃんに問われるけど、変に心配されたくないのでまだ黙っていることにした。もちろんしばらく様子を見て続くようだったら、相談して医者に行って見てもらおう。

「そう? 何かあったら相談してね。私と帯刀さんはいつでもあなたの味方だからね」
「うん、ありがとうおばあちゃん」

 それ以上は聞かないでくれ、私を信頼してそれだけしか言わない。私の悩みをいつも黙って聞いてくれて、一緒に悩みながら解決方法を探してくれる。
 頼りない所もあるけれど、大好きなおばあちゃん。




「帆波、綺麗だよ。まさか恋でもした?」
「私の恋人は研究です」

 居間にはおじいちゃんが新聞を読んでいて、私を見るなり口説き冗談っぽく耳打ちする。なれている私はいつもの答えを笑顔で返す。

 いくつになってもおじいちゃんは若々しい?

「それなら良かった。まだ可愛い孫娘を手放したくないからね」

 これが本音でお母さんの結婚は遅かったそうだ。

 お父さんとの結婚も偉く揉めたらしく破談になりかけたけれど、おばあちゃんがぶちギレなんとかなったようだ。
 だから私の時も揉めるに違えない。

「もうおじいちゃんったら。なら龍神の神子達の活躍とその間のこと教えて下さい」
「ああ。神子殿一行は全員で二時に来ると言っていたから、それまでに出来る限り教えてあげる」
「よろしくお願いします」

 相手がいないのに勝手に揉められてもイヤなので、話題を変えて勉強タイム。

 元総理大臣だけあって今でも社会情勢に詳しく柔軟な頭を持ってるため、さまざまな角度から物事を見ることが出来る。勉強は欠かさないようで、いろんなことを知っている。
 だからおじいちゃんと討論するのは面白い。



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