夢幻なる縁
□1章 二代目四神の神子
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「四神の神子の力って中途半端な浄化能力だっけぇ?」
「それは凪の潜在能力であり、浄化能力は白龍の神子より劣るが中途半端ではない」
「帆波は神力が高いので同等だと思います」
「それから凪には秘密にしておいたが、八葉の力を増幅させることも出来る」
「え、それって危険なんじゃないの?」
スマホを改良しながら四神の神子の能力を念のため確認すれば、多少の勘違いと知らない事を話される。
しかしなぜおばあちゃんには秘密にしておいて、私には迷わずにすぐに言う?
四神とは仲が良いと思ってたけれどそれは勘違いで、実は嫌われていて雑に使われるとか?
「そうではない。あの頃の凪は子を身ごもっていたから、無茶をさせたくなかった。帆波なら使いこなせると判断しただけのこと」
「そうですよ。我々は帆波の事も凪と同じぐらい大切に思ってますよ」
「そう言うことか。ありがとうみんな」
私の気持ちを読み取ったのか、慌てて誤解を解こうとする。それが嬉しくて、笑顔がこぼれた。
少しでもみんなの気持ちを疑ってしまった私が情けない。
私は四神の神子。
これからは何があっても四神を信じよう。
「帆波、入っても良い?」
「おばあちゃん。うんいいよ」
どこか沈んだおばあちゃんの声に言われ返事をすると、やっぱり元気のないおばあちゃんが入ってくる。
おじいちゃんの雷がよほどすごかったんだろうか?
私とお母さんには落としたことがないけれど、とてつもなくすごいものらしい。
「凪、大丈夫か? 帯刀は相変わらず冷血な奴だな」
「違う。いつも私が悪いんだ。帆波、ごめんね」
「もういいよ。それにおばあちゃんの言う通り家族は私の事を良く考えてくれてたんだ」
すぐさまおばあちゃんの心配しおじいちゃんを悪者にするクロちゃんに、おばあちゃんは首を横に強くふり自分が原因だと言い私に謝る。
でも私はもう気にしていないし新たな発見が出来て良かったとも思う。
私はきっと幸福者だ。
「ありがとう。だけど縁談相手はあの藤堂コンシェルンの御曹司なんだってね? 彼って若い頃の帯刀さんに少しだけ似てるんだ」
「へぇ〜そうなんだ。それは是非見てみたい」
会ったことがあるらしく有力情報を耳打ちされ、それだったら少し興味が沸く。
やり手でおじいちゃん似だったら、結構ポイントが高い?
縁談しないで会う方法ってあるのだろうか?
「彼なら浅草六区でよく見かけるよ。なんでも彼と乗る観覧車の順番待ちする女性達が長蛇の列って話」
「え? ならやっぱりいいや。私そう言う軽薄な奴は好きじゃない」
興味を持ったのも束の間。
信じられない話にどうでも良い相手になってしまう。
浮気も不倫も絶対に許せない。そんなの人間のクズがやること。
女癖の悪い人と結婚したら、不幸になることぐらい馬鹿でも分かる。
「帯刀さんも私と結婚する前は女性には困らない色男だったけどね? 毎晩毎晩連れてくる女性は別人だった」
「嘘? おばあちゃんよく結婚したね」
「私の事を誰よりも理解してくれる人だって分かったら、好きって気持ちが止まらなくなったんだよね? しかもプロポーズははいしか選択はなかったから。でも結婚してから一途でいてくれる。だから本気の恋をすると人は変われるんだと思う」
今のおじいちゃんではとても信じられない最低最悪の過去が発覚する。その上そんな大魔王のようなプロポーズに頷けるのは、マイペースでどこか抜けてるおばあちゃんしかいない。
確かに本気の恋をすると人は変われると言うけれど、軽薄な奴が一途になるのはレアケースではないだろうか?
「私やっぱり運命の人は自分で探したいんだよね?」
結局それが私の結婚に対する願望。
どう考えても縁談はまだまだ先の話で、結婚に焦る年齢でもない。
縁談はどうしても見つからない時の保険。
さすがに五年経ってもまったく見込みがなかったら、行き遅れになる前に縁談はするつもり。