夢幻なる縁
□1章 二代目四神の神子
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「尚哉さん、私を弟子と言うか助手にして下さい。私もこんな自動人形を作りたいです」
「え、帆波はどんな自動人形を作りたいの?」
「感情豊かで、食事も出来る自動人形です」
「…………」
尚哉さんの自動人形の説明が終わり私が目指している物に出逢えた気がして、尚哉さんの両手を強く握り興奮気味でお願いをしてしまう。
驚かれ理由を問われ迷わず本音を答えると、顔が青ざめ無言になる。
あまりの幼稚な理由に幻滅された?
でも私は本気だ。
それにここまで出来るのだから、幻滅されるほどおとぎ話ではない。
「尚哉さん?」
「あ、ごめんごめん。前に僕の知り合いが真顔で同じことを言ってたんだよ。呆れるぐらいまっすぐで打たれ強くってさ、僕がどんなに罵ってもへこたれないんだよね? あれは絶対マゾだよ」
どこか遠くを見る眼差しで口調はうんざりだけれど、なぜか幸せそうで辛そうにも聞こえる。
尚哉さんにとって大切な人だった。
でもそれはきっと触れてはいけないと思うから、黙っておこう。
思っている以上に心の闇は深いかもしれない。
「私は真剣なんです」
「今度研究室に案内してあげる」
「本当ですか? ありがとうござい」
熱意が伝わったのかそう言われて子供のようにはしゃいだのが行けなくて、足を踏み外し尚哉さんの胸元に勢い良くダイブ。
こんな時にドジ発動。
「あ、すみません。すぐに、え?」
すぐに自力で立ち上がろうとすると、なぜかギュッと抱き締められる。
男性なのに香水の良い匂いかして、見た目に反して意外としっかりしていて暖かい。
鼓動が高鳴り出し恥ずかしいけれど、どう言うわけだか心地良くってこのままでいたい。
私の好きな温もりに、目をつぶり身を任せる。
「この続きをしても良い?」
「え、続きって?」
甘い声で意味不明なことを問われ不思議に思い顔をあげ尚哉さんを見上げると、目を閉じた尚哉さんの顔が近づき
???
理解するよりも早く、私の唇に尚哉さんの唇が触れる。
????
私キスしている?
家族や四神達じゃない大人の男性と?
なんで?
「いや〜!!」
ようやく頭が追い付きこの状況を理解した瞬間、力の限り拒絶と脇腹に拳を入れる。
虎の時とは比較にならないぐらいの強力な物なので、まともに喰らった尚哉さんはよろめき離れうずくまり顔をしかめる。
「イタタタ。君があまりにも無防備なのがいけないんだよ」
「は、最低。だからと言ってキスすることないじゃないですか?」
「うん、わかった。ならもうキスはしないから」
「そう言う問題じゃありません。私、帰ります」
まるで私が悪いような言い方に軽蔑な眼差しをむけキツく言い返すけれど、ヘラヘラしながらまったく悪気のない態度を見せられる。
あまりのことに私は呆気にとられもう口論するのにも馬鹿らしくなり、強制的に話を切り上げ尚哉さんに背を向け走って整備場を飛び出した。
涙が溢れて止まらない。