短夢堂

□ヒロインにきいてみよう!4
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【共通シナリオ】


化学の授業をサボった罰として、晃と佑は準備室の掃除を命じられた。


「あ〜っもうっ!めんどくせー!」


「ほら佑〜、早くそっち拭いてくれない?」


準備室に入った瞬間、速攻で掃除に飽きた佑が、めんどくさそうに雑巾を振り回し始める。


晃も気持ちは同じだったものの。


サボった理由が、他校の女の子を校内に連れ込んで、空き教室でシッポリしてたという弱みを、冴島にガッチリ握られてしまったので。


沙也加にバラされないように、セカセカと手を動かしながら、冴島の機嫌をこれ以上損ねないように、ひたすらデスクを拭いていた。


渋々と手を動かし始めた佑が、薬品の入っている棚を拭き始める。


でも、それも1分も立たないうちに「ナンダコレ?」という奇妙な声と共に終わりを告げた。


顔を上げた晃が佑を見る。


既に雑巾を放り投げた佑は、薬品棚からマグカップを取り出した。


「どうしたの、ソレ?」


「わかんね。棚の奥の方に入ってた」


二人で佑の手にしたマグカップを上から、下から、横からと眺める。


「由紀ちゃんの?」


「ええ?マジか???」


「でもそうだったら面白くない?」


「だよなー!あんなナリでこういう系が好きとかって、かなり笑えるなっ」


「あの由紀ちゃんがね〜っ」


どう見ても「魔王」のモノとは思えないソレに、二人が一番ありえない仮定で盛り上がってる時だった。


「…俺がなんだって?」


「うわぁ!」


「うおおっ!」


突然真後ろから上がった低い声に、二人が縮み上がる。


が。


あまりにもビックリしたために、「魔王らしくない」マグカップは、ツルンと滑って床に落ちてしまった。




―――ガチャンっ


「!!!!」


あっけなく砕けたマグを、呆然と見下ろす三人。


真っ先に口を開いたのは、やっぱり冴島だった。


「…お前ら…」


ゴオオオオという不気味な効果音が当てはまりそうなほどに、怒りのオーラを揺らめかせる冴島。


晃と佑は、真っ青になりながら謝った。


「悪かった!由紀ちゃん!」


「ホント!ごめんね由紀ちゃんっ」


「悪気はなかったんだぞ?」


「そうそ、なんか由紀ちゃんの意外な一面を見ちゃったっていうか」


「そうだ、ソレだ!由紀がそういう系が好きってコトに驚いてただけだ!」


「でも誰にも言わないからねっ!ね、佑?!」


「お?おう!もちろんだ!任せろ…っ」





「ゴチャゴチャとうるせぇ!!!!」





こめかみや額、頬に怒りマークを浮かべた冴島が怒声を上げる。


不機嫌度数…というか、怒り度数がMAXになっている担任を見上げた二人は、手を取り合って震えあがった。


砕けた大きな破片を摘み上げた冴島が「あーあ」と呟く。


「…まいったな…」


心なしか沈んでしまった冴島を見て、晃と佑は顔を見合わせた。


「そこれって…大事なモンだったのか?」


佑が意を決して口を開くと、欠片を摘み上げてはデスクに乗せていく冴島と目が合う。


「大事っちゃ大事だろ」


「えー、なんかハッキリしないなぁ?」


破片を拾い集めるのを手伝いながら、晃が冴島を覗き込んだ時だった。


「コレは、沙也加のだ」


「!!!!」


突然出てきた好きな子の名前に、再び衝撃が走る。


またビックリした佑が、拾った大きな欠片を落としそうになったので、晃が慌てて受けた。


細かな破片はどうしようもない。


箒で寄せ集めて処分すると、冴島は引き出しから取り出したボンドで、大まかな形に復元し始めた。


その様子を見守りながら、佑と晃は訊ねる。


「なんで沙也加ちゃんのマグカップがここになるの?」


至極もっともな質問に、冴島は何ともないように答える。


「コーヒー用のカップが壊れたからな。そこで、沙也加が大事にしてるカップを寄越せって言ったんだよ」


(生徒に貢がせたんだ…)


(…大事にしてるカップ限定…)


佑と晃が引きつった笑いを浮かべる。


そんな二人の横で、冴島は復元作業を続けながら口を開いた。


「…で、やってきたのがコレだ」



* かわいらしいマグカップ→2P

* 手作り風のマグカップ→3P

* 女王のカップ→4P


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