短夢堂U
□神蘭☆北風と太陽
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「ンだと!?もういっぺん言ってみろっ!」
「何度も言われなきゃ分からないのか。やっぱりバカなんだな?」
「あったまにきた!今日こそ決着つけてやるぜ!藤堂っ!!」
「ウルサイ、いちいち吠えるな」
寮の廊下で大声でやり合っている亮二と零。
これを止めるのはやっぱり…
「はいはーい、ストップだよ〜。もうやめようねー」
晃がニコニコと笑いながら仲裁に入る。
いつもの光景、日常の一幕。
顔を真っ赤にして怒る亮二の肩をポンポンと叩く晃は、困った様に笑いながら零を見た。
「原因は聞かないけどさ。そろそろこういう言い争いって止めない?」
「俺は何もしてない。龍海が突っかかってくるだけだ」
「テメェが一々ムカつくのがワリィんだろうが!」
「はーいはい!言ってる傍からやめようね、亮二も零も」
晃がため息を吐き出して何気なく外を見た時だった。
「あ、沙也加ちゃん」
庭では、洗濯物を干す沙也加がいる。
それを見た三人は、それぞれに…デレた。
(あー、やっぱり可愛い♪)
(結婚したら毎日あんな光景が見れるのか)
(〜〜〜っ)
何となく二人の雰囲気が緩んだところで、晃が何かを思いついたように顔を上げた。
「良い事思いついた♪」
「?」
一応、沙也加効果でクールダウンした二人は、揃って晃を見る。
晃は、楽しそうな微笑みを浮かべたままこう言った。
「この際だから、沙也加ちゃんに勝敗をつけてもらおう」
「はぁ?」
「どうやって?腕相撲かなんかのレフェリー役か?」
「違うよ」
「じゃ、じゃあどっちと付き合いたいか、とか…」
「違うってば。亮、言いながら照れるなって」
「お、俺はっ…」
「はいはい。とにかく、顔を合わせれば何かとぶつかられるのも同じ寮生としては困るし?だから、今日こそ決着を付けよう。ね?」
怪訝な顔のまま顔をチラッと見合わせた二人は、なんだかよく分からないまま、晃の言葉にうなずいたのだった。
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