短夢堂

□チェンジ!2
2ページ/4ページ



式を解き終わって、数学の先生を振り返る。


・・・。


この先生のこんなアングリ顔、初めて見た。


授業を妨害せず、ただ寝てただけでどうして叩き起こされなきゃならないのか。


納得はいってない。


嫌がらせに、応用問題の上級編から出題するあたり・・・


自分の器の小ささを露呈してるようなモノだ。


(くだらない)


「合ってるのか?」


確認しなくても、当然正解している・・・。


「吾妻くん・・・大正解だよ・・・」


幽霊でも見るような目つきで見られる。


不愉快だ。


ま、それも仕方が無い。


・・・俺は今、吾妻になってるわけだし・・・。


ため息をついてから、俺のカラダがいる席を見る。


(・・・っ!!!?)


吾妻!


あ、が、つ、ま!!!


あのバカ!


なんで俺の顔で、そんなタコッパチみたいな顔をしてるんだっ


沙也加が、妖怪でも見るような目で俺を・・・俺のカラダを・・・



チラ見している・・・っ!?



他の寮生はまだいい・・・。


気の毒そうな顔の龍海も、この際だから許す。


・・・でも、沙也加にそんな目で・・・


見られるのは耐えられないっっ!!!


足音が大きくなったのが自分でも分かる。


それに気付いた寮生が一斉にこっちを見た。


「佑!スゲーなぁ!」


龍海の顔が引きつってる。


「一体いつ勉強してたの〜?」


元々のデキだ。


「俺が教えてやれることもねぇな」


元に戻ったら、面倒を見てやれ、水瀬。


「佑くん!スゴイ!今度一緒に宿題しよ??」


元に戻ったら幾らでも付き合うから。


「へっへ〜ん!スゲーな!オレってばよっ」


俺、そういう風な顔もするんだな。


・・・。


いや、そうじゃない!


俺は、俺の(吾妻の)腕を掴んで立ち上がらせた。


「ちょっと来い」


数学の先生がなんか喚いてるが、そんなコトに構ってられない。


俺は、俺を(中身は吾妻)屋上まで引っ張っていった。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ