短夢堂
□ツンデレ男子のカノジョ
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【@冴島目線】
休日の朝。
俺は興奮気味の夏男から、その報告を受けた。
『大変よ!!由紀ちゃんっ!!』
「んだよ、朝っぱらからっ」
安眠を妨害された俺の機嫌は、当然すこぶる悪い。
そんな俺の事情を全く無視した夏男は、電話口で大声で叫びやがった。
『沙也加ちゃんがね!!亮と付き合うことになったのよっっ!!!』
「…はぁ!!!?」
時計は朝の7時を回ったトコロだ。
まだ寝てる時間だってのを思ってた俺は、その一言で一気に目が覚める。
「おいおいおい、それはマジ情報なのか??」
『マジもクソもないわよ!この耳でさっきハッキリ報告を受けたのっっ!!』
「誰からっ」
『二人からに決まってるでしょっ!!』
「はあああああっ??!」
寝起きだからか、裏返った変な声が飛び出る。
開いた口が塞がらない。
よりによって「あの」御堂が、「あの」龍海と????
電話越しに喚く夏男が、何かを言ってるがほとんど聞こえない。
「おい、ちょっと夏男」
『な、なによっ』
「…大丈夫なのか」
「あの」二人…。
すると、それまで散々喚き散らしていた夏男が、ふふふっと笑い始めた。
『まぁねぇ?こっちが心配するのは野暮ってモノでしょう??』
「でもな」
『きっと大丈夫よ♪なんだかんだで、仲よくやって行くわよ』
…。
まぁ、それもそうだろうな。
素直じゃない龍海だけど、そこは一枚上手な御堂がしっかりリードするだろうな。
リードっていうか。
手の上で転がす、っていうか。
夏男と適当な事を話してから、電話を切る。
「…とりあえず恩は売っておくか」
携帯を操作して、去年卒業した魚屋の倅を呼び出す。
交際記念に新巻鮭でも贈りつけて、からかってやろう。
そう目論みながら、俺は呼び出し音に耳を傾けた。
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