first flower-【F*F】
□【キャンプに行こう】堂郁
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夏の終わりのある日、珍しく小牧から提案があった。
“みんなでキャンプに行かないか”
それにはどうやら、
夏休みが終わる前に楽しい思い出を作りたいというかわいい彼女の願いも含まれていたようだが、
堂上班の面々は
それぞれがやる気と行く気をもって、この休日を楽しみにしてきたようである。
キャンプ場へ向かう車の中で、張り切った郁が声をあげた。
「あと少しで着きますよね?ついたらまず何しましょうか!とりあえず食料ゲットですか!」
その声で、昨夜を当直で過ごした堂上と手塚が目を開けた。
小牧の運転する車の助手席に乗った堂上が、
頭だけで振り返っていう。
「アホゥが…食料は小牧がしっかり後ろに積みこんでるだろが」
「いや、でもキャンプの醍醐味…魚とか取って焼きたいじゃないですか」
「それならお前が魚係りだ。班長命令。夕飯期待してるからな」
そういって再び目を閉じる堂上。
一方的に話相手に閉め出され、仕方なく乗り出した体を収めたところで、
隣に座った柴崎と目があった。
「あれ、そういえば柴崎、キャンプとか参加なの珍しいね」
いつもはこういったアウトドア系のイベントには、なんだかんだの理由をつけつつ
断っていた印象だったのだ。
「あら、別に嫌いじゃないのよ。
でも、手際の悪いとこみせられちゃうと
イライラしてこっちのテンション下がるのよね」
満面の笑みでそう切り替えされて、郁もひきつりつつもつられて笑顔になる。
「でも今回はこのメンツよ?小牧教官、堂上教官、手塚…だれか一人でもサバイバルできるメンツでしょ
私がなにかしなくても
キャンプの準備くらい心配なく進むじゃない」
…たしかになぁ、
と思いつつ、郁はそれ以上口を開くのをやめた。