07/06の日記

22:33
妄想SS☆「七夕に君と」(ガジレビ・ザンメル・ジェラエル)up
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またまたご無沙汰しております。
4月以降、
更新もすっかり止まっておりますが、
毎日ふらりと来てくださる方もおられて、
ありがたい限りです。
ガジレビ、愛されているね。

コロナとの共存を強いられた世界の中で
我々も新しい生活様式に慣れていかなくては
なりませんね。
オンラインでは会えても
会いたい人になかなか会えないという
この状況。

待って。
何かに似ていないかしら。
「会いたい人に会えない状況」
やだァ〜〜〜七夕の牽牛と織姫じゃないのおおお。
(織姫といえば、BLEACH……あっ古傷が)
というわけで、ちょっと書きたくなったので
お話を書いてみました。
不思議設定の現代パロ。
なんでもありという心の広い方向け。
良かったらどうぞ。



妄想SS☆「七夕に君と」



設定:現代パロ ガジレビは夫婦。ザンメルは記憶全くなしの他人同士。
   唯一記憶を残しているのはカフェの店主であるジェラールのみ。



夏だというのに、
七夕のその日は少し冷えていて買い物途中、懐妊中のレビィが
「少し休みたい」
というので、
ガジルは近くにカフェを探した。
次の瞬間、
こんなところに店などあっただろうかと
意外な場所にカフェを見つけた。
野生の勘のようなものが脳裏をかすめたが、
「ま、見つかってよかったってことか」
と独りごちて、妻を誘い店内へ。


「いらっしゃいませー」
豊かな桃色の髪をポニーテールにまとめた可愛らしい女の子が二人を笑顔で迎えてくれた。
「こちらのお席へどうぞ」
女の子は二人を通りを眺められる窓際の席へ案内してくれた。
「ご注文がお決まりになられました頃に参ります」
お水とおしぼりをおいてから、そういうと女の子は、カウンターの方へ戻っていった。



女の子はカウンターの奥にいる男性に小声で、
「店長、もしかして、あの方たちも?」
とたずねた。
その会話はガジルとレビィには聞こえなかったが、カウンターの端に座っていた金髪の青年には聞こえていた。


「ああ、そうだよ」
店長と呼ばれた男性の顔面の右目の周辺には珍しい模様の刺青があった。
「フェアリーテイルのガジルとレビィ。
やはりこちらの世界でも結婚したんだね。
よほど縁が深いと見える。
良かったね。
お腹に赤ちゃんがいるらしい。
双子ちゃんかな」
店長がぶつぶつと自分の記憶と現実を整理していた。

「ふうん。
店長の頭の中にだけ、昔の記憶があるなんて変なの」
桃色の髪の女の子が口をとがらせた。
「ははは。
君も僕と一緒に旅をしていた同じギルドの仲間だったのに。
それを忘れているだけだよ。
僕だって、思い出して欲しいくらいさ。
メルディ」
「そんなの、無理。
なあんにも覚えていないもの」
「そうか」
店長は少し寂しそうに笑った。



「わたし、注文を聞いてきます」
メルディはガジルとレビィの席へと向かった。
店長はカウンターでコーヒーを飲んでいた青年に向かって、
「君は、覚えているんだろう」
と心の中で聞いていた。


ザンクロウの記憶は途中まで。
しかも最悪の状態で終わっていた。
あれは本当のことなのだろうか。
メルディが自分を裏切って
自分がメルディを傷つけたなんて。
高笑いをしながら、
心は張り裂けるように痛み
大声で泣き叫びたいくらいだった。
そこで記憶は途切れていた。
七夕の今日。
偶然に立ち寄ったカフェで
桃色の髪の女の子を見たとき、
自分はこの子を知っていると感じた。

「でっかくなってやがる」

それでもこの女の子は
自分が知るメルディに違いない。
店長にそう呼ばれているのを聞いた時に
自分の中の前世の記憶らしきものが
確信に変わった。


「店長、アイスコーヒーとホットミルクティーをお願いします」
「了解」
戻ってきたメルディはオーダーを告げると、
「今、お冷や入れますね」
と青年に向かって言った。
「あ、ああ」


「お客さんとわたしも、店長が言うには
前にどこかで会っているかもって。
でもわたし、全く覚えてなくて。」
「はは・・・・・・」
ザンクロウは乾いた笑いを返した。


「覚えてます?わたしのこと」
「お・・・・・」
「覚えてるわけないですよねーあはは」


覚えている。
忘れたことなんか、ない。
そう、言えたら。


「メルディ、コーヒーとミルクティー」
「あっ、はい」
メルディは二つのカップを乗せたトレイを運んで行った。


窓際の席でレビィがガジルに問いかけていた。
「このお店って前からあったっけ」
「なかったよな、オレもそう思ってたぜ」
「いつできたんだろう」


ジェラールは
あの時代を
ともに生きた人たちが転生して
「休む場所が必要」
と感じた瞬間に
その場所に現れるという『必要の部屋』の魔法をこの店にかけたのだった。


前世の記憶を持って生まれたジェラールが
エルザを探す方法として思いついたのが
この魔法をかけたお店をやることだった。
いつかエルザに必要とされるように。
記憶を頼りに修行と勉強を重ねて、魔法が使えるようになったのが
つい最近のことだった。
そして現れたメルディは
自ら
「ここで働かせて欲しい」
と言った。


ウルティアに会いたいのかい?と
聞いたけれど、メルディは何も覚えていなかった。
ジェラールはそれがうらやましかった。
前世の記憶があるばかりに、どこにいるのかもわからないエルザを探し続けている自分。


今日、
ガジルとレビィが現れた。
ザンクロウもやってきた。
きっとエルザもやってくる。
自分を覚えているかどうかはわからないが。
忘れていても構わないのだ。
会えばきっと自分たちは恋に落ちる。
自分にはエルザしかいない。
エルザにも自分しかいない。
ジェラールはそう信じていた。



ジェラールはザンクロウへ自分の確信を言葉にした。
「君は、
覚えているんだろう?
大切な人の幸せを見届けに来たのか」
「え、何言って・・・・・・」
「他の誰かが大切な人を幸せにするのを、黙って見ているだけになるのか」
「!」
「オレは・・・・・・」
ザンクロウには言葉もなかった。


「君も
今も昔も彼女を大切に思っているんだろう。
今度はやり方を間違うな。
オレは一度やり方を間違えた。
だからもう、二度と失敗はしない」
ジェラールの言葉がザンクロウに突き刺さる。


「メルディが
この店で出会った
あの時代の人間は、
僕をのぞいたら、君が初めてだ」
ジェラールが言葉を続けた。
「それがどういう意味かわかるかい」
「・・・・・・」
「君もメルディも
魂のレベルで
お互いに
会いたがっていたということだ。
だから会えたんだ」
ザンクロウの鼻の奥にツンと軽い痛みが走った。


「はい、新しいお冷や、どうぞ」
メルディが新しいお冷やを持ってきた。
「あ、どうもって」
「お客さんって、個性的な話し方ですよね」
「そっスか?」
「うん。でもなんか」
「なんか?」
「聞いてて懐かしい感じがする」
「へ・・・・・・」
「やっぱり、どこかで会ってるのかなあ」


本当にメルディも自分に会いたがってくれていたのだろうか。
「あのさ」
「はい」
「オレと、LINEの交換しね?」
「それって友だちになるってことですか?」
「そう、そんな感じ」
「いいですけど。お客さんのお名前は?
わたしはメルディと言います」
「オレは、ザンクロウ」
青年はグリモアハートの、と言いかけて止めた。



カフェの扉が開いて
緋色の髪をした女性が現れた。
このお店での奇跡の再会は始まったばかり。


今日は七夕。








END
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




超久しぶりに書きました。
書いててちょっと切なかった。
でも楽しかった。

レビィちゃんはその後、元気に双子を出産。
ガジルはバリバリ働いて、二人で素敵な家庭を築きます。
ジェラールと再会できたエルザは
開口一番
「やっと見つけた」
とつぶやいたらしいのですが
後でジェラールがそれを確認しても
「知らん」
の一点張りだったそうで。


ザンクロウとメルディは
歳の差カップルとなり
(たぶん5から7歳くらいは離れてるはず)
幸せに暮らしました、とさ。
めでたし、めでたし。


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レッドフォックス家での後日譚を書きました。
こちらも良かったらどうぞ。

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