story

□相棒
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レビィにありがとう、と言われてガジルは赤くなっている。
「別に。バトルに参加しただけのことだろうがよ。」
「ううん。滅竜魔導士って、やっぱりスゴイんだよ。」
「フン」


リリーは二人のやりとりを見て、ガジルの人柄に触れた気がしていた。
一見粗野で乱暴そうな男だが、実は深い愛をもっているようだ。
それは、この少女によるものか。
それは、この少女だけに向けられるものなのか。
いや、この男が内心ギルドを愛しているのは間違いなさそうだ。
そして、それ以上にこの少女を愛しているように感じるのも、どうやら、自分の思い違いではなさそうだ。
ガジルのレビィへの接し方は、明らかに、他の女性に対する接し方とは違う。
エルザやルーシィにはナツたちと変わらない接し方をしているものの、どう見てもレビィに対しては
「かわいくてしょうがない」
「愛おしくてたまらない」
という気持ちが態度に表れている。
しかも、それは子供のようにわかりやすい。
だから、ああやってすぐちょっかいを出しているのに違いない。
しかし、つきあっている恋人どうしほどの大胆さはない。
それゆえ、この男が自分の思いに気付き、それを認めているのかは、わからないが。
一方、どうやらこの少女もガジルに好意を抱いているのだろう。
またあのとき、ガジルは自分ははみ出し者だと言っていたが、ギルドにいてそのような雰囲気を感じることはなかった。


「おい、リリー。どうしたんだよ。黙り込んで。」
「ごめんね、私からリリーに話しかけてたのに。」
「あ、いや、何も気にすることはない。おれなら大丈夫だ。」
リリーは大人っぽい口調とは裏腹に肉球のついた小さな黒い手を、だいじょうぶだと上げて見せた。
「かわいい手!」
「当たり前ェだろうがよ、猫だぜ。」
レビィがリリーの手をつかみ、両手で肉球を触ってきた。
「うわぁ、気持ちいい〜」
「オイ、あんまり触ってんじゃねェ」
なぜかガジルが不機嫌そうにレビィの腕をつかんだ。
「?あら、リリー嫌だった?ごめんね。」
「いや、おれは」
リリーがふとガジルを見ると、ほんのりと頬は赤く、ぶすっとしてレビィの腕をつかんだ自分の手を見つめている。
まさか、おれにまでヤキモチを妬くほどこの少女を愛していたとは!
「そ、そうだ!おれはハッピーにいろいろとエクシードとして聞きたいことがあるのを思い出したっ!」
「そうなんだぁ。ハッピーならあっちにいるよ。」
とっさの口実をつくってその場を抜け出した
リリーが振り返ると、
そこには手の大きさをくらべあっているガジルとレビィの姿があった。


「なんというわかりやすい男だ」
リリーは半ば呆れながら、半ば親しみをこめて、これから自分の相棒となった男の姿を見つめていた。


END


リリーは「案外大人」なものですから、
今後も、一見鈍感で素直じゃない、でもわかりやすくてかわいいガジルくんの相棒をうまくやってくれると思います。
エクシードって肉球あるんでしょうか?
ま、ここではあるってことで。
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