storyX 『紅の螺旋』(連載中)5/22up

□第3章 その名はLR
2ページ/3ページ


「この花、結婚式のブーケなんかによく使われるんだって」
「ジュビア知ってるわ。ブルースターっていうんでしょ」
「そうそう。ピュアブルーとも言うみたい」
「へぇ。ピュアブルーか」
お前にぴったりだな、とは思っていても言えないグレイだった。

「わあ!かわいい!!」
ジュビアの手に渡った小さな花束を見つけたレビィが歓声をあげた。
「素敵でしょう」
ジュビアもレビィも意識しているのだろうか、自身の髪の毛の色に似たものに反応を示すことが多い。
それは彼女たちの恋人にとっても同じことなのだが。
「チンと収まってていいじゃねェか」
それはガジル流の褒め言葉だった。
チンと収まっている、それはつまり、小さくて可愛らしいという意訳であり、本人が最も愛するレビィを象徴する言葉であるとも言える。
「ね」
レビィも嬉しそうにガジルを見た。
メルディはこれまでこの二人と話す機会がなかった。
しかしジュビアからガジルとは『幽鬼の支配者』というギルドからの知り合いだと聞いていたし、そのガジルの彼女だとレビィのことも教えられていた。
さらにウォーロッド氏のおかげもあってか、二人とも個人的に親しくなった。
というのも、ウォーロッド氏はかつてプレヒトと呼ばれていた頃のマスターハデスと初期の『妖精の尻尾』メンバーだったこともあり、
闇の魔道へと道を違えてしまったプレヒトを救えなかったことへの後悔からか『魔女の罪』にあれこれと力を貸してくれるようになったのだ。
その橋渡し役のように、ウォーロッド氏からの伝言や手紙をあずかってくるのが、評議員時代に氏と親しかったガジルとレビィだった。
その結果、ガジルとレビィが『魔女の罪』に訪ねて来ることもあった。

「たしかに、レビィさんにも似合いそうね」
メルディはレビィにもおみやげを買ってくればよかったかと少し後悔した。
レビィに花を贈るのはガジル、となんとなく決めてかかっていたのだ。
ジュビアに贈った花も、どちらかといえばジュビアとグレイに、というつもりだった。
「ガジル、あとでお花屋さんに寄って帰りたいよ」
「ギヒッ、そういうと思ったぜ」
「えへへ」
幸せそうに見つめ合うガジルとレビィを見ていると、メルディも幸せな気持ちになった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ