story

□please call me
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その日、レビィはギルドのテーブルでガジルが来るのを待っていた。
きっと、仕事探しにくるよね。
そしたらこの間のお花のお礼(『forget-me-not』参照)にって、お茶に誘うんだ!
レビィはそう誓うと、ぎゅっと小さなこぶしを握り締めた。
どこに行こうかなぁ。
ガジル、鉄以外でどんなものが好きなんだろう。
っていうか、好き嫌いとかなさそうだけど。
「アァ?腹いっぱい食えりゃイイんだよ」
なんて言ってそう。うふふ。
そういえば、
「甘い物はどっちかってェと苦手」
って言ってたっけ。
あ、でもまだオーケーしてくれるかわからないか・・・。
そこへ、意中のガジルがやってきた。
き、きた!

「ガ、ガジル、こんにちは!」
「オウ」
「仕事探しにきたんでしょ?」
「まぁな」
ガジルはレビィの声にうながされるように、リクエストボードへと向かった。
レビィはガジルの少し後ろをついて行った。
「・・・・・・」
ガジルはリクエストボードの前で腕組みをしながら、首を少し傾けて依頼書を見て回った。
「デカい仕事はねェのかよ」
「最近、落ち着いた感じのが多いよね」
ガジルの後ろから、ついてきていたレビィが声をかけた。
そのレビィを振り返り、今度はガジルがたずねた。
「お前ェはどうなんだよ」
「わ、私?」
「あいつらとの仕事入ってねェのか」
「ああ、ジェットとドロイ?私たちは明日から隣町まで仕事に行くの」
「フーン」
「・・・ガジルは、今日、ヒマ?」
「アア。仕事もねェしな」
「も、もしよかったら、一緒にお茶か食事にでもどう?」
よし、言えた!レビィはここまで言うと、心の中で小さくガッツポーズをした。
「!」
誘われたガジルは驚いて、惚けたような表情になっている。
「こ、この間のお花のお礼もしたいし!」
「花?アア、アレか」
「うん!」
ガジルから承諾した言葉は聞かれないものの、拒否している様子もないので、
「ど、どこか行きたいとこある?」
とレビィはたたみかけた。
「別にどこでも構わねェけどよ」
「じゃあ、とりあえず出発しよ!」
レビィはガジルの気が変わらないうちに、
自分の勇気がくじけないうちに、
ギルドの誰かに邪魔されないうちに、
さっさとガジルの腕をつかんで、ギルドを出て行った。
やだ!私ったら、大胆なことしてる・・・。
そう意識したとたん、レビィは真っ赤になった。
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