story

□イン・天狼島
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S級魔導士昇格試験の舞台となった天狼島に向かう船の中、
フリードがかけた術式を、またもや見事に解いたレビィは、ガジルと二人一次試験へと向かうのだった。


砂浜に上がると、ジリジリと太陽が身体に照りつけてきた。
「ハァハァハァ、ガジル泳ぐの速いんだね」
「当たり前ェだろうが、俺は竜に魔法を教わったんだっつーの」
「り、竜って泳げたっけ?それより、早く通路選ばなきゃ。どれにしようかな」
「お前ェ、好きなのどれでも選べよ」
「う〜ん、じゃ、ここにする」
海から上がってすぐさま、通路を選び、進んでいくガジルとレビィだった。

試験に向かうというだけでなく、天狼島の暑さ、そしてレビィにとってはガジルと二人でこの先を進んでいくということが
何より気持ちをたかぶらせていた。

「この先、誰が出てくるのかな?」
通路を進みながら、レビィが問う。
「さァな。誰が出てきても構やしねェ。ギヒヒ」
「ガジル、うれしそうだね」
「まァな。エルザだろうがギルダーツだろうが、ぶっとばしてやんよ」
「そればっかりなんだから」
「他に何があるってんだァ!アア?」
どうやら、レビィ以上にこの試験に燃えているガジルを止めるすべはなかった。
レビィも、ガジルといっしょにいられるという甘い想いに浸っていては、とうていこの試験に合格できないこともわかっていた。

しかし、通路を進めども、障害となるS級魔導士はいっこうに現れない。
<もしかして、これって静のルートなのかな>
とレビィは思い始めたが、油断は禁物だ。

半歩ほど自分の前を行くガジルについて歩きながら、
<やっぱり、ガジルってガッシリしてる>
とレビィはその背中の筋肉に見とれていた。
<って、そんなこと考えてちゃダメだ。しっかり、しなきゃ>


しばらくすると
<どうして、ガジルは私なんかのパートナーになってくれたんだろう。本当にナツやエルザをぶっとばしたいだけなのかな?>
とまた、レビィの頭の中に妄想が浮かんできた。
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