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□私を映画に連れてって
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その日、ガジルとレビィは映画に行く約束をしていた。

「ちょっと古い映画なんだけど、おもしろそうだよ」
「フーン」
本や映画が好きなレビィと違って、ガジルはあまり興味がなさそうだったが、
レビィがうれしそうにしているものだから、行きたくないとも言えず、いや言わず、
二人は仲良く映画館へと足を運んだ。
レビィはというと、ガジルが自分に合わせて映画につきあってくれているのだと承知していたし、
途中でガジルが居眠りをはじめてもしようがないか、くらいに考えていた。
できれば、映画の感想を二人で話したりしたら楽しいだろうな、などという思いがちらっと頭をよぎった。
しかし、レビィにとってのガジルの魅力とはそんなことはどうでもいいくらいに、
彼の存在を全部ひっくるめて愛していたので、
「ガジル、途中で寝ちゃってもいいよ」
と、彼の腕にしがみつきながら、小さな声で耳打ちしたほどだった。
「チッ」
見透かされたガジルも舌打ちしながら、愛おしそうにレビィを見下ろした。


「アルセーヌ三世のカリオストロのお城」
という古い映画だったが、予想に反してガジルは居眠りをすることもなく、
むしろ興奮気味に映画を楽しんでいるようだった。

「ガジル寝ないでちゃんと観てたじゃない」
「当たり前ェだろーが」
「けっこうおもしろかったよね〜ラストなんてじーんときちゃった」
「・・・・・・」
ガジルはレビィの声も耳に入らない様子で、眉間にしわを寄せて、何やら考えこんでいた。
「ガジル?ねえ、どうしたの?」
「あ?いや、なんでもねェ」
いつもと違うガジルの様子が少し気になったが、
真剣に映画観すぎて疲れちゃったのかな?
とレビィは思った。
「疲れた?ちょっと早いけど、何か食べに行く?」
「そうだな」
「ちょうど、ルーちゃんに教えてもらったお店があるんだけど。そこに、行ってみようか」
「ああ」
「以前、エルザと一緒に一日働いたことがあるお店なんだって。あ、ナツとグレイもいたんだ」
「あいつらに店員が勤まんのかよ」
「なかなか大変だったみたいだけど、楽しかったって」
「フーン」
「ナツはお客さんの料理食べちゃったり、グレイはウェイターの服脱いじゃったり」
「ギヒヒ、目に浮かぶぜ」
「でしょ〜。エルザは一番ノリノリだったらしいよ」
「今日は、働いてねェんだろうな」
「大丈夫よ。四人ともギルドの別の仕事入ってたもん」
「ならいい」
二人であれこれと話しながら歩いているうちに、目指すレストランに到着した。
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