story

□相棒
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おれはパンサー・リリー。
エドラスという国で生まれ育ったエクシードだ。
かつて、ガジル・レッドフォックスという男と戦って、その後、おれはガジルの猫になった。

「ここが、王子が世話になっていたギルドか。」
エドラスでの戦いを終えて、アニマを通ってマグノリアにやってきたおれは、
かつてジェラール王子がミストガンという名前で所属していた魔導士ギルド「妖精の尻尾」に世話になることになった。

「はじめまして、リリー。」
おれに声をかけてきたのは、小柄で青い髪と大きな瞳をした少女の魔導士だった。
「私、レビィ・マクガーデン。よろしくね。ガジルの猫になったんだって?」
「ああ。パンサー・リリーだ。」
「ガジル、とってもうれしそうだね。きっとずっと前からそばにいてくれる相棒が欲しかったんだよ。」
ガジルのことをおれに語るこの少女の頬がほんのりと赤くなっているのを、おれは見逃さなかった。
もしや、この少女は・・・
そこへ、
「何言ってやがんだ。滅竜魔導士ってのは猫を連れてるのが当たり前なんだよ。」
と、ガジルが現れて、レビィとリリーの会話に入ってきた。

「ふぅん。じゃあ、なおさらよかったじゃない。」
「だいたいお前ェらはあんなラクリマのかたまりになっちまいやがって、全く世話のかかるギルドだぜ。ケッ。」
ガジルは忌々しそうに言うものの、全く迷惑そうでもなく、ポンポンとレビィの頭を叩いている。
「いたぁい。ちょっとやめてよ。」
そう言ってレビィはガジルの手首をつかもうとするが、レビィの小さな手ではガジルの腕はつかみきれない。
ガジルはギヒヒと笑うと親指と人差し指で、逆にレビィの手首をつかんだ。
「小せェうえに、腕も細ェなァ。お前ェは。」
レビィはぷくっとふくれて見せたが、すぐににこっと笑って言った。
「でも、助けてくれたことには感謝してるよ。ありがとう、ガジル。」
レビィはガジルをまっすぐ見て言った。

エドラスでのことはルーシィたちがみんなに話していた。
ミストガンを名乗っていた王子に頼まれて、ガジルがラクリマになったギルドのみんなを助けようと、ナツやウェンディに続き、
単身でアニマを通ってエドラスに向かったことも。
あの巨大なラクリマの前で、おれたちは対峙したのだった。
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