story

□悪ィかよ
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S級昇格試験最中の「悪魔の心臓」との戦いを終え、ギルドに戻ってきた受験者たち。

「あの!ガ、ガジル、試験の時はありがとう///ちゃんとお礼を言わなきゃと思ってたんだ」
ギルドのテーブルで隣に座りながら、レビィがガジルに言った。
ガジルは何も言わず、赤い瞳でレビィを見つめた。
「せっかくガジルがパートナーになってくれたのに、残念。はあ〜」
ため息をつくレビィ。
「試験どころじゃなくなっちまったからな。しょうがねぇ」
ガジルにとっては、もう過ぎ去ったことのようだ。
意を決して、ガジルを見つめるレビィ。
「ガジル」
「なんだよ」
「も、もしまた受験者に選ばれたら、パートナーになってくれる?」
「来年は無理だな」
ガジルの即答に、レビィの胸が疼いた。
「も、もう誰かと約束してるとか!?」
「来年はマスターに俺を選ばせてやる」
「あっ」
なるほどそうかと納得するレビィ。
「そうだね。ガジルならきっと選ばれるね」
なんだか、自分勝手なお願いをしていたようで、レビィは恥ずかしくなった。
そんなレビィの気持ちを知ってか知らずか、ガジルが言った。
「もし、どっちかが選ばれなかったらパートナーになるってのは、どうだ」
「いいの!?私なんかで!?」
レビィは、ガジルには自分のパートナーになってもらいたいが、自分がガジルのパートナーとして役に立つかは自信がなかった。
「他にだれがいんだよ」
「え!?」
そう言ってガジルはぷいっと横を向いた。
それってどういう意味?
レビィはその意味を問いただしたいものの、喜んでいいのか、深い意味はないのか、はかりかねていた。

二人のやりとりをすぐ近くのテーブルで聞いていたルーシィとエルザ。
ついたまらず、ルーシィが声をかけた。
「それって、試験だけの話なの?」
「どういう意味だよ」
ガジルが問う。
「いや、周りで聞いていると、まるで」
「まるで、なんだよ」
「つきあってくれと言わんばかりの」
「なっ!!」
かなり鈍感なガジルもことの次第がのみ込めてきたようだ。
もうレビィは耳まで真っ赤になっている。
しばらくの静寂のあと。

「・・・悪ィかよ」
ガジルが覚悟したように、ぶすっといった。
「ええ〜!!!やっぱりアンタたち!!!
レビィちゃん!おめでとう!!!」
ルーシィがハイテンションでレビィを祝福し、エルザも納得したようだ。
「その潔さは認めよう」
「チッ」
ガジルは忌々しそうに舌打ちをしながら、照れるふうでもなく、平静を装っていた。
レビィはというと、ルーシィに抱きつかれぐにゃぐにゃに振り回されていた。


END

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