拍手お礼SS☆置き場

□拍手お礼SS☆2012年9月分
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☆拍手お礼SS「滅竜魔導士の小さな災難」



秋の風が心地よくなってきた、9月のドラゴンの館。
朝食を終え、おもむろにリリーが立ち上がって言った。
「おれは今日は、ハッピーとシャルルと、エクシードの村に行ってくる」
今日は一日休みなのだ。
「オウ」
「楽しんできて、リリー」
「ああ、そのつもりだ」
リリーを送り出した、レッドフォックス夫妻はというと。


「俺は庭で昼寝がしてェ」
「うん。私もつきあうよ」
こうして二人は、ガジルとリリーがつい最近ハンモックを取りつけた森の一画の木に向かった。
ギシッ。
ガジルが造作もなくハンモックにもぐりこむ。
レビィのためにスペースを作ってやると、小柄な愛妻がごろんと隣にすべりこんだ。
「えへへ」
レビィが笑う。
「なんだよ」
ガジルの赤い瞳が隣のレビィを見つめる。
「楽しいね」
レビィの口元から白い歯がこぼれた。
「昼寝するだけだぞ」
愛おしさにくすぐられながらも、ぶっきらぼうな一言しか言えないのが、ガジルらしい。
「そういうのが楽しいの」
それを十分承知しているレビィが、そう言ってぷうっとふくれた。
「・・・まァな」
そういうガジルの太い手がレビィの身体を、ぐいっと引き寄せた。
「昼寝するだけなんでしょ?」
「どうやって寝ようが、俺の勝手だ」
「んもう」
ゆらゆら揺れるハンモック・・・

「ウ・・・」
「やだ!まさか?酔っちゃったの?」
「・・・レビィ、じっとしてろ。コレ以上揺らすんじゃねェぞ・・・」
ハンモックも乗り物みたいなものなの?
取りつけたの失敗だったかな?
滅竜魔導士ゆえの小さな災難。
かわいそうだけど、なんか、かわいい。
青い顔をして深呼吸をしている夫を見ながら、レビィは幸せそうに笑った。



END

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☆拍手お礼SS「ガジルの憂鬱」



「ええ!?ガジルが風邪?」
「ああ」
ギルドでリリーから予想外のことを聞いたレビィは、驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまった。
ガジルが風邪をひくなんて。
ガジルは風邪なんてひかないと思ってた。
だって、前にも
「風邪ェ?ンなもん、かかったことねェよ」
なんて言ってたし。
でも、もしかしたら、今まで何が風邪なのかわかってなかったのかも・・・。
自分の身体のことなんて、まったく構ってこなかったかんじもする。
怪我をしたって、
「フン。こんな怪我ぐれェ」
って、強がって生きてきたんじゃ?
やだ、心配。
「私、お見舞いに行ってもいいかな?」
「ああ、もちろんだ」
実はリリーはそのつもりで、ガジルの様子をレビィに伝えたのだ。
リリーの目には、どうやらこの二人はお互いに好意をもっているにちがいないと映っていた。
レビィがガジルの見舞いに来てくれたら、二人の距離もぐっと近くなるだろう。
ガジルの風邪も一気に快方に向かうのではないか。
ガジルの相棒となったリリーが、寝込むガジルを前にして、あれこれ考えた結果、先ほどレビィに話をつけたというわけだ。


「じゃ、リリー。ガジルの家に案内して」
「わかった」
レビィは未だ、ガジルの家がどこにあるのかさえ、知らなかったのだ。



つづく


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私の中では『レビィの休日』で、レビィちゃんはガジルくんの家がどこかを知るのですが、ここではまだそんなに親しくない二人を妄想して書いてます。
リリーもいるのでエドラス後、天狼島前くらいでしょうか。
ま、どうでもいいや。
とにかくくっつく前。
こういうパターンもアリ、として。



☆拍手お礼SS「ガジルの憂鬱」その2



頭が割れそうにガンガンしやがる。
なんだってンだよ。
リリーは、
「風邪なんじゃないのか?」
って言ってたけど、コレが風邪、かよ?
マジで頭痛ェ。
この寒さはなんだ。
どうやらいつも強気の、この鉄の滅竜魔導士はタチの悪いインフルエンザにでもかかってしまったらしい。

ガチャリ。
「こっちだ」
「おじゃましま…す」
は?
あの声は・・・。
「どうだ、ガジル、起きてるか?」
寝室に入ってきたリリーの言葉を無視して、ガジルが叫んだ。
「レビィ!!」
そして自分が病人だということも忘れるほどあせり、寝ていたベッドから半身を起こした。
「ガジル、だいじょうぶ?」
レビィが駆け寄って、ガジルをまたベッドに寝かしつけた。
小さな手がガジルのおでこにぴたっとはりついた。
「うん。やっぱり熱がある。薬飲んだの?」
「い、いや・・・」
「リリーが薬があるかもわからないっていうから、マスターにたのんで、ポーリシュカさんの処方した風邪薬もらってきたの」
「・・・悪ィ・・・な」
「ううん。とにかく、まずコレ飲んでみて」
「あ、おれが水をくんでこよう」
リリーはそういうと、台所に水をくみにいった。
寝室に残された病人の滅竜魔導士と才長けた青い髪の妖精。
ぴた。
「!」
ガジルが赤い瞳を見開いた。
レビィがガジルの頬に両手をあてたのだ。
「私の手、冷たいから気持ちいいでしょ?」
「オ、オウ・・・」
あ、頭がぼーっとしてきた。
くそっ。
なんで風邪なんてひいちまったンだよ。
「水、持ってきたぞ」
「ありがと、リリー。ほら、ガジル、お薬飲んで」
ごく。
「上手に飲めたじゃない」
「あ、あったり前ェだ」
「ふふふ。そんな口聞けたら大丈夫だね。おかゆでも作ってくるから、ちょっと寝てたら」
「アア」
そういうとレビィとリリーは寝室を出て行った。



つづく

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現代パロ的で書いてて非常に面白いッス(*^_^*)
風邪引いて、牙の抜け落ちた滅竜魔導士。
イイねェ〜(笑)
そういえば、レビィちゃんが風邪をひいたお話は『ガジレビ2DAYS・後篇』で書いたなァ。



☆拍手お礼SS「ガジルの憂鬱」その3



リリーにあれこれと台所の使い方を教わり、レビィはなんとかおかゆを完成させた。
「おかゆでも作ってくるから」
なんて言ったものの、料理にはあまり自信がなかったのだ。

「できた!」
「ごくろうさま」
そばで見守っていたリリーがねぎらう。
「ガジル、起きてるかな」
レビィはパタパタとガジルの寝室へ向かった。
「ガジル・・・起きてる?」
「・・・オウ」
頭が痛すぎて眠れないのだ。
「おかゆ作ったんだけど、持ってこようか」
「ア、アア」
本当に牙の抜け落ちたドラゴンみたいに、今日のガジルはおとなしい。
お見舞いにきて、看病の真似ごとのようなことをしているというのに、レビィはなんだか楽しかった。

「起きられる?」
レビィがトレーにおかゆを乗せて、やってきた。
ガジルがふうーっと半身を起こした。
「はい、どうぞ」
レビィがトレーをガジルの膝の上あたりの布団の上に乗せた。
滅竜魔導士の自慢の嗅覚も利かない。
おかゆがどんな匂いなのか定かではない。
「ふうふうしてあげようか?」
レビィは大人しいガジルに世話を焼きたくてしょうがないらしい。
「・・・」
レビィの看護ぶりに、ガジルもどこまで甘えていいのかわからない。
ただ、割れそうに痛かった頭がぼーっとしてきた。
薬が効いてきたのかもしれない。
ガジルはなんとかスプーンでおかゆをすくって口に入れた。
「おいしい?」
病人に味などわかるはずがないのだが、
「オウ」
と答えておいた。
「よかったぁ。食べられる限り、たくさん食べて力をつけてね!」
「オ、オウ」
レビィはにこにこと満足そうにベッドのわきに座っていた。

レビィは優しいなァ。
風邪のせいで、素直さが芽を出していたガジルの心の中はというと。
ああ、せっかくレビィがこんな近くにいるというのに、自分は風邪などひいているとは。
嗅覚もおかしくなっているせいで、レビィの匂いすらわからない。
クソっ。
しかしこの憂鬱さは、彼の病気を回復させる原動力となった。
早いトコよくならねェと。
こんな風邪なんかに負けてられっかよ!


一方、ダイニングでは。
「!」
こっそりとおかゆの味見をしたリリーが、両手で口を押さえた。
辛い!
レビィ・・・塩を入れ過ぎだろう・・・。
しかもまだごはんに芯がある!
リリーは静かなガジルの寝室の方を見て、ゴクリとつばを飲み込んだ。
味は見なかったことにしょう。





END

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コレはこれで(*^_^*)
私はこういう不器用だけどがんばるレビィちゃんもスキ〜〜〜(*^_^*)

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