storyX 『紅の螺旋』(連載中)5/22up

□第6章 分かれ道、迷い道
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レビィは考え込んでいた。
そこへ薬室からガジルとポーリシュカさんが戻ってきた。
「レビィ、どうした?」
「さっきのあの人、やっぱり『LR』なんじゃないかしら!?」
レビィが男の言葉と態度から推測していく。
「魔導士っぽかったし。
ポーリシュカさんにタダで薬を預けたのだって、古代魔法に関するものを本来ある場所に戻してるっぽいし。
やってることが『LR』と似てるよ」
「枯れた薔薇は置いていってないぞ」
リリーが反論する。
「ここには枯れた薔薇はいらないもの。
きっとあの魔法薬を手に入れた場所には置いたのよ」
「・・・・・・」
ガジルは考えが追いつかないのか、何も言わない。

「ではあれが『LR』のパルファムということに」
「オレも覚えたぞ」
一夜と滅竜魔導士の嗅覚が男の匂いを記憶した。
「今度会ったら絶対捕まえてやる」
「だから『LR』は何も悪いことしてないんだよ?捕まえる必要なんてないの」
「けど、世間を騒がせてるじゃねェか。お騒がせ罪で逮捕だ」
「ガジルってば、わたしたち、とっくに評議院じゃないんだからね」
「ンなもん、捕まえてウォーロッドのじいさんとこに連れてきゃなんとでもなるだろ」
「その前に『LR』のやってることの理由を聞かなきゃ」
レビィの薄茶色の瞳が、駄々っ子のようなガジルの赤い瞳を見つめた。

魔導士ギルド『妖精の尻尾』も、そのメンバーであるガジルもレビィも、これまでたくさんの魔導士たちと戦ってきたので、記憶が薄れている部分もあった。
男が『妖精の尻尾』を意識している点もレビィには気になった。
何か忘れているんじゃないかな。
わたしたちはあの人と前にも会ってるのかも。

「時のアークってつぶやいていたぞ」
リリーが情報として男のつぶやきを伝えた。
「ウルティアさんの使う魔法のことかしら」
「かもしれねェ」
アンナ先生がつぶやいた。
「魔法で時間を操ることは難しい。己の中にある時のはざまで道に迷っていなければいいけれど」
「迷ってるふうには見えなかったぜ」
「アタシにも何か信念がありそうにも見えたね」
「今度あの匂いがしたら、捕まえてやんよ」
「ガジルったら」
「わたしも力を貸すメェーン」
「頼もしいわね」
アンナ先生がほっとしたように笑った。




つづく


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