storyX 『紅の螺旋』(連載中)5/22up

□第3章 その名はLR
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『妖精の尻尾』の酒場のあちらこちらで、仲間同士がおしゃべりに花を咲かせていると、意外な客がやってきた。
「やっぱり、ここもいつも賑わってんな」
ここも、というのは自身のギルドも同様だという意味らしい。
「お前らも来たのか」
「ナツさん、お久しぶりッス」
訪ねてきたのは『剣咬の虎』のマスター・スティングとローグ、ユキノ、レクターはユキノにフロッシュはローグに抱かれていた。
そしてミネルバの隣にはエンジェルことソラノが立っていた。
その姿を見つけたルーシィが嬉しそうに手を振った。
「歓迎されておるようじゃの」
どうしていいかわからないソラノがミネルバにうながされ、ぎこちなく手を振り返した。

「今日はえらい大人数だな」
「たまにはね。こうやってマグノリアの魔導士が集まれるのもの平和な証拠って、あ、違うか」
スティングが何かを思い出したように自分の言葉を否定した。
「あ?どういう意味だ?」
ナツがすかさず問いただした。
ギルドのメンバーたちのなんとなくスティングの話す内容が気になり始めたらしく、なんとなくそちらに身を乗り出している。

「いや、変な噂が立ってるんスよ」
「うわさ?」
「お前らは聞いていないか?『枯れた薔薇の魔導士LR』」
ローグがスティングのいう噂を補足した。
「はぁ?なんだ、ソレ」
メルディがハッとする。
さっきここに来る前に枯れた薔薇の花束を目にしたばかりだった。
あの枯れた薔薇も何か関係するのだろうか。
ジェラールとエリックも目を合わせた。
スティングが続ける。
「今どき古代魔法なんて誰も使わないけどさ」
ゼレフやアクノロギアとの闘いを経て、平和を取り戻したフィオーレは、かつてのように魔導士が平和にその力を使い仕事をするようになっていた。
「闇の世界じゃコレクターみたいなのが、いるって話で。
あちこちに残ってる古代魔法の道具や本を盗んだり、売りさばいたりって」
「ったく、懲りねぇヤツもいるもんだな」
ガジルの評議員の血が騒いだのか、まだ見ぬコレクターとやらに眉間にしわを寄せた。
「いつの時代も私欲ばっかりの人はいるもんね」
ルーシィが呆れたように言う。
ハートフィリア家が代々受け継いできた使命の重さを知っている者たちは、その言葉を噛みしめていた。

「その枯れたナントカってやつがコレクターなのかよ」
「それが違うんスよ」
スティングの話はこうだった。


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