storyX 『紅の螺旋』(連載中)5/22up

□第3章 その名はLR
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第3章 その名はLR

それぞれの予想をはるか越えて、エルザもキナナも愛する人からの花束の贈り物を喜んだ。
ジェラールから白い百合をあしらった花束を贈られたエルザが真っ赤になるのを、
「花は白だけど、髪の毛と顔の色が真っ赤で区別がつかねぇな」
とついありのままの感想を述べてしまったナツが吹っ飛ばされ、立ちあがって戻ってきたところで、
「最近エルザが髪の毛の手入れをするようになったって聞いたしよぉ・・・」
と続けてしまったためにさらにもう一度吹っ飛ばされる羽目になった。
「被害者がナツ一人でよかったわ」
とルーシィが安堵したものだ。

エリックから珍しく花束を贈られたキナナも頬を赤らめながら、はにかむように嬉しそうに笑っていた。
「わぁトルコキキョウ!素敵ー!こっちのかわいいのは見たことあるけどなんていうお花なのかしら?」
キナナが白いトルコキキョウに添えらえた白い小さな花の名を尋ねた。
「たしか、マグノリア・・・じゃなくてマトリ・・なんだったかな」
「マトリカリアって言ってたよ」
メルディが助け舟を出した。
「そう、それだ」
「ふーん。たしかにマグノリアみたいね」
「そうだろ?」
エリックが優しそうにほほ笑むのを見て、メルディはやはり恋人同士の雰囲気がするものだと再確認した。

エリックとキナナを二人にしてあげるべく、メルディが向かったのはジュビアとグレイのいるテーブルだった。
「ハーイ、ジュビア」
「メルディ、いらっしゃい」
「今日は珍しい組み合わせだな」
グレイはジェラールとエリックのことを言っているらしい。
「そう?だって、二人とも『妖精の尻尾』に彼女がいるんだよ?」
「あ、そうか」
珍しいと言えば、珍しいのかもしれない。
元評議院であり囚人だった魔導士とそれぞれ闇ギルドに身を置いていた魔導士が一緒に行動しているなんて。
7年前には想像もできなかったことだ。
大魔法世界なんてなくても、こんなふうに暮らせるようになるなんて・・・・・・
メルディはふと昔を思い出した。
そして我に返り、
「あ、そうだ。ジュビア、これ、おみやげ」
そう言って親友に小さな花束を渡した。
「まぁ、ジュビアに?」
「うん。かわいいでしょ。二人の部屋に飾って」
メルディがにこにこと笑いながらそう言った。
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