妄想SS☆置き場 12/8up 

□2012年10月分
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☆妄想SS「素直になれなくて」


通路の真ん中にツンツン頭の金髪の青年が立ちふさがって、すごい目つきで少女を睨んでいる。
少女はふうっとため息。

「オイ」
「はい」
「お前、昨日ローグとデートしたんだってな」
「・・・してません」
「ウソつくんじゃねぇよ。お前とローグがカフェでお茶飲んでるのをレクターが見てたんだぞ」
「だって、あれはデートではありません」
ショートヘアの少女が青年の目を見返して、そう言った。
「フン。どうでもいいや」
「・・・」
憤っていた青年が頬を染めて、急につむじを曲げた。
我に返り恥ずかしくなったらしい。
「スティングくん、どうでもいいなんて、いっちゃだめですよ」
スティングと呼ばれた青年の足元から励ましているのは、彼の猫、レクター。
「ユキノさんのこと、好きなんでしょ」
レクターは少女に聞こえないように、ごにょごにょとそう言った。
「別に好きじゃねぇよ!!」
「「!」」
スティングの大声に、レクターとユキノがびくんと身体をこわばらせた。
言ってしまってから、さらに真っ赤になったスティングは、どかどかと足音を荒げて少女の前を立ち去って行った。
「あ・・・」
追いかけようか。
追いかけたいけれど。
追いかけてもいいものか。
自尊心が強くて、繊細。
どこか放っておけない人。
そんな彼が私は好き。

「ユキノさん」
スティングの後ろ姿を見つめる少女にレクターが声をかけた。
「はい」
「スティングくんのこと、どう思います?」
「・・・好き、です」
「よかったです・・・」
ほっとした様子のレクターを見て、ユキノが笑った。
「今の言葉、スティングくんに言ってもいいですか?」
「言わなくてもわかってると思います」
「そうですよね」
「ええ」

「レクター!!なにやってんだ!!」
はるか向こうで、スティングが怒鳴っている。
「一緒に行きませんか?」
「いいんですか?」
「だいじょうぶですよ」
「じゃあ」
レクターの誘いにユキノはほほ笑んで応じた。

ああ、もっとスティングくんとユキノさんが仲良くなればいいのにな。
もしかして、フローもローグに対して同じことを思っているかもしれない。
「あ、あの、ローグのことは好きですか?」
「ええ」
「レクターさんもフローさんが好きでしょう?それと同じです」
「それってどういう意味ですか?」
ユキノが説明しようとしたとき、
「何チンタラしてんだ!!」
スティングが怒鳴りながら、こちらに向かって歩いてきた。

「お前まで、なんで来たんだよ」
「ぼくが誘ったんですよ」
「スティング様とレクターさんとデートできたらいいなと思って」
ユキノが真っ赤になってそうつぶやいた。
「スティングくん、聞こえた?」
レクターが見上げると、そこには真っ赤になっているスティングがいた。



END

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☆妄想SS「二人三脚」悪魔の心臓篇


設定:『悪魔の心臓』時代。メルディはグリモアの戦艦からときどき学校に通っています。


メルディが学校から持って帰ってきたおたよりをウルティアが読んでいた。
ザンクロウが横から盗み見る。
「何、読んでるんスか?」
メルディのことが気になるので、是が非でも得たい情報だ。
「体育祭のご案内よ」
「タイクサイ?」
「たいいくさい、だよ」
メルディが訂正してきたので、意味もなくザンクロウがメルディの桃色の髪の毛をくしゃくしゃと触った。
かわいかったから、つい、というヤツらしい。
「メルディ、何に出んだ?」
「ダンスとリレーと親子二人三脚」
「オヤコニニンサンキャクゥ?」
「うん」
「わかったわ。二人でがんばりましょ」
「うん!」
親子二人三脚には自分がメルディと出るのが当然と考えているウルティア。
「ちょっと待ってくれって。オレっちと出てもいいんだろ?」
「・・・いいけど」
「じゃあ、オレっちと出ようって。な、メルディ」
「でも」
ウルティアと出るものだと思っていたメルディがちらりとウルティアの方をうかがった。
「私とメルディが出るのがスジってものよ」
「スジなんて、タイクサイに関係ねぇって」
「たいいくさい、だよ」
またメルディが訂正したのをきっかけに、ザンクロウがそのやわらかい頬を両手でぎゅっとはさんだ。
「やめて」
「ヒヒヒ」
ああ、かわいくてたまんねぇ。


「スジを無視するなら、ザンクロウより俺の方が脚は速い」
「それは聞き捨てならんね」
俊足を鼓舞するラスティとアズマが加わってきた。
「わわわ笑いをとるなら、じじじ自分が適役ッス」
「笑いはいらないよ」
ヒカルの立候補はメルディ自らが固辞した。
「親子ってんなら、俺様がいちばんそれらしく見えるだろうが」
ブルーノートもヒマをもてあましていたらしい。
「主は参加表明せんのか?」
マスターの問いに
「メェはカメラマンとしての任務がありますから」
カプリコが答える。

「あらあら。メルディ、みんなに愛されてよかったわね」
ウルティアがメルディの頭をぐりぐりと撫でた。
「うん」
「でも、二人三脚には私が出ます」
ウルティアがそう宣言した。
まさにツルの一声。
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
「ちぇっ」
あからさまに残念がるザンクロウをメルディが慰めた。
「じゃあ、ザンクロウは来年一緒に出て」
「いいのかっ?」
「うん」
「じゃあ、早速練習しよ!」
「え?今から?」
ザンクロウがメルディの手を引いて、戦艦のリビングを飛び出した。
かわいかったから、つい、というヤツらしい。
否、確信犯。
きっと、二人きりになりたかっただけ。
リビングから見下ろせる戦艦の甲板で、二人は仲良くくっついて二人三脚の練習をしていた。





END
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