story W(他CP)

□ミステリーチャプス
1ページ/4ページ


設定:『剣咬の虎』に籍をおくスティングとユキノちゃんはつきあっているという設定。


クロッカスにあるキャンディショップ。
それはもう色とりどりのキャンディが店内を埋め尽くしていた。
フィオーレ中の子供の憧れるお店の一つだ。
子供のみならず、女の子や若い女性にも大人気で、
首都クロッカスにしかない店は観光名所の一つ。
うずまきの棒つきキャンディや、傘の柄の形をしたぐるぐるのキャンディ。
子供に人気のあらゆる種類のキャンディがつかみどりできる透明のボックス。
オリエンタルな作風の動物を細工したものもある。
パティシエであり、飴細工職人としても世界的に有名な店主が世界各地で学んだ、キャンディの技が集結されていた。

「ココ、入るのかよ?」
「ここに寄らずにクロッカスからは帰れません」
甘ったるい香りに辟易しているスティングをよそに、ユキノはいつになく真剣だ。
「スティングさま、お嫌ならほかでお待ち頂いてても結構ですが」
「わかったよ。オレも行くよ」
ユキノを一人にはしておけない。
というより、一人になどしたくない。
今日は久しぶりのデート。
ちょっと観光気分を味わおうと、わざわざクロッカスまでやってきた。
明日も仕事は休みだし、なんなら泊まっていっても・・・と幸せな妄想をしているスティングをよそに、ユキノはすたすたと店内へ入っていく。
「ちょ、ちょっと待てよ」
ギィ。
ウィンドーから見るよりも店内は広く、しかも童話に出てくるお菓子の家さながらの雰囲気があった。

「かわいい〜」
そういうユキノの方がかわいい、とスティングは思った。
いつも眉をしかめて、威圧的な表情をしている男だが、
子どもみたいにはしゃぐ自分の彼女を見ていると自然と口元がほころんでしまう。
「スティングさま、これなんかレクターにどうでしょう?」
「ハハハ・・・魚の形のキャンディ?おもしれぇ」
「うふふ。骨の形もありますよ」
「マジか?」
気がつけば、スティング自身も童心に返って、キャンディを選んでいた。

ユキノはレクターやローグのお土産と、自分が家で食べるためのキャンディの缶を選んだ。
レジで会計をしようとした祭、ドーム型のツリーに刺さった棒付きキャンディが二人の目を止めた。
40Jの値札に『ミステリーチャプス』とある。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ