story W(他CP)

□『剣咬の虎』のクリスマス
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☆拍手お礼SS「『剣咬の虎』のクリスマス」


すでにオルガのカラオケに耐えうるオレの精神も限界。
ルーファスのしょぼい見え見えの手品も見飽きた。
お嬢の香水の匂いも実に鼻につく。
おのれの滅竜魔導士の嗅覚を今ほど呪ったことはない。
スティング、お前がうらやましいよ。
今頃、きっとユキノとレクターと三人で楽しく食事でもしていることだろう。
ああ、帰りたい・・・。
「ローグ。お嬢に聞こえるよ」
ハッ。
「フロー・・・オレのつぶやきが聞こえたのかい?」
「フローもそう思うから、聞こえたよ」
「フロー・・・」
唯一の癒しであるフローを抱きしめ、ローグは耐えていた。

「何か申したか?ローグ」
「はい、少々疲れたので風呂に入って寝たいと」
「風呂?何をふざけたことを。オルガの歌もまだ終わっておらぬというのに」
・・・もうマジで勘弁してくれ。
「何か申したか?」
「はい、ミネルバ様のグラスが空いておりますゆえ、もう一度乾杯したほうがよいかと」
「気が利くのう、ローグ。ほんにわらわのグラスがからっぽじゃな」
ローグがミネルバのグラスになみなみとシャンパンを注いだ。
いっそ毒でも入れてやりたい。
「何か申したか?」
「いえ、どうかグーッと一息に空けていただければと」

ローグにしてみれば、お嬢のご機嫌をとろうと、オルガやルーファスまでもがクリスマス会を楽しんでいるのも気に入らない。
ローグが二人を炎のような目で見つめた。
しかし二人は単純にカラオケと手品を披露して喜んでいただけだったので、
激情したローグの視線にも全く気づかない。
このクソ腰ぬけ野郎どもが!
あ、オレも同じか・・・
「何か申したか?」
「そろそろクリスマスプレゼントをお渡ししてもよいかと」
「ああ、そうじゃの〜」
「メリークリスマス!ミネルバ様!」
「うん、うん。メリークリスマス!」
ミネルバが三人からプレゼントを受け取った。
オルガからは髪の毛を結いあげるのが好きなミネルバに、ルビーをあしらったかんざしが贈られた。
「なんと、美しいのぅ。オルガの見立てはなかなかのものじゃ」
ルーファスからはマグノリアで流行りのバスボムやボディクリーム、香水、の入った籠。
籠の底に敷かれたタオルもミネルバのネーム入りという凝りようだった。
「これまたルーファスは趣向を凝らすのがうまいものじゃ」
上機嫌になったミネルバがローグから贈られた包みを開けると・・・茶色に赤のストライプで編まれた毛糸の塊がでてきた。
「これは、なんじゃ?」
「・・・ご覧のとおり、腹巻きです」
「はらまき、じゃと?」
「はい。ミネルバ様のお腹が冷えませぬようにと」
「・・・礼を言うぞ。ローグ」
腹巻きを贈られたことに落胆し、突如自分の年齢を意識したミネルバが、
デトックス鍋が食べたいと言いだし、クリスマスパーティは場所を移動して、さらに続けられたのだった・・・。
しくじったか。
「ローグ、ジゴウジトク?」
「ああ。オレもそう思うよ、フロッシュ」





END
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここまでおつきあいくださり、ありがとうございます。
スティユキ&レクターのお話(SSではなくて)を書いてみて、我ながらこれまで以上に三人が大好きになりました。
スティングとユキノちゃん、ねつ造はなはだしい妄想ですが、私としてはとってもお似合いなCPだと思うんです。
このお話は原作を無視した設定で書き始めましたが、
スティユキについては、ユキノちゃんがジエンマから『剣咬の虎』を解雇されるときの場面からはじまった妄想です。
あのとき、ローグは「ユキノは仲間だった」というけれど、スティングは「弱いヤツは必要ない」と考えています。
強さこそが自分のアイデンティティーだというスティングがいつかその勘違いに気づき、
あのとき、ジエンマからかばってやれなかったことをユキノちゃんに詫びて、くっつけばいいのに、という妄想に走ってしまいました(笑)
まぁ、私のこういった妄想理念?はザンメルに由来するのですが。

どうでもいいことですが、
「みぞれ鍋」は「雪」のイメージで選びました。
また、クリスマスといえば24日か25日かどうしようか迷いましたが、そんなんどうでもいいや、ということで「当日」にしました(笑)

書いてみてとっても楽しくて、三人が仲良くしている妄想をするのは幸せでした。
こんなスティユキ&レクターですが、気に入っていただけるとうれしいです。


2012年12月
管理人・あん

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