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□レビィちゃんをよろしく!
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食欲の秋。
その日は絶好のお出かけ日より。
レビィはギルドでルーシィと待ち合わせていた。
今日は二人で、マグノリアの中央公園で開催されるイベント『B級グルメコンテスト』に行く予定なのだ。
数年前から開催されているこのイベントには、これから流行るであろうB級グルメの味をひと足早く堪能しようと期待をよせる、多くのファンが訪れていた。
会場に入る前売り券も売上が好調で、多少の当日券は用意されているものの、早く入場しなければ、お目あての品が完売されている憂き目にあうという、人気のイベントなのだ。
しかし、今回はルーシィの星霊プルーがイベントのキャラクターとして、各地での宣伝に参加してきたこともあって、ルーシィはその報酬の一部として入場券を手に入れていたのだ。

そこへ、ルーシィが息を切らせてやってきた。
「ごめ〜ん、レビィちゃん!」
「あ、ルーちゃん。おはよう」
「待った?」
「ううん。だって、私が約束の時間より早くきちゃっただけだよ」

というのも、レビィはもしギルドでガジルに会えたら、会話の一つでもできるかもしれないと、このところいつもどきどきしながら、早めにギルドへやってくるようになっていたのだ。
ガジルとの出会いは最悪だったものの、バトル・オブ・フェアリーテイルでの一件依頼、
自然とレビィはガジルのことを目で追うようになっていた。
私、すっかりガジルのこと、好きになっちゃったんだ。
レビィは一人で、そう自分の気持ちを振り返った。
意中のガジルはといえば、まだ今日はギルドに姿を見せていないようであった。


「ごめん、レビィちゃん。謝るのは待たせたことだけじゃないの」
ルーシィがレビィに両手を合わせながら、続けた。
「?」
「今日もどうしてもプルーに来てもらえないかって、さっき依頼人から急に連絡がきちゃったの」
「そうなんだぁ」
「うん・・・仕事を断ったうえに会場で会ったら気まずくなっちゃうし、つい引き受けちゃって・・・」
「そう。それは、仕方ないよ。ルーちゃんの魔導士としての信用にもかかわるもんね。私なら大丈夫だよ」
レビィは明るく言った。
ルーシィは申し訳なさと親友への想いがまぜこぜになってしまい、胸が熱くなった。
そして、何かを思いついたように、声高に言った。
「・・・よかったらさ、この入場券2枚あるから、誰かと行ってきたら?」
「え?」
そう言ってルーシィは、二列ほど先のテーブルの長椅子を見やった。
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