story U 

□いとしのレビィ
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夕食をとる客でにぎわうマグノリアのとある居酒屋。その店は値段も手ごろで味もよいと評判で、家族づれも好んで利用する店として知られていた。
シャドウ・ギアで仕事に行くこともめっきり少なくなってきたこのごろ、ため息まじりに男二人が杯を重ねている姿がある。

「はぁ〜、今日も男二人で晩飯食ってるとはよぉ」
「何言ってんだ?別にそんなもん、前からじゃねぇか」
「はぁ〜」
「おい、ドロイ。いい加減にしろ!ため息ばっかつきやがって、酒もまずくならぁ」
「お前ぇだって似たようなもんじゃねぇか。
レビィがいねぇからって、仕事でポカりやがってよぉ」
「なんだと!?」
「ふん」
口ではののしりあってはいるものの、別にケンカへと発展するでもなく、男たちはお互いに杯を注ぎあっている。

「いらっしゃ〜い」
そこへ、入り口から二人が予期せぬ客が現れた。
「!」
「おい、ガジルじゃねぇか」

二人が予期せぬ客であるガジルも、店に足を踏み入れてすぐに、ジェットとドロイに気づいたようだが、
いつも通りの無愛想さそのままに、一人カウンターへと腰を下ろす。
二人は黙ったまま、しばらくガジルをじっと見ていたが、ふいにジェットが立ちあがってガジルの方へ近づいた。

「おい、お前ぇ、一人か?」
「見りゃわかンだろ?」
「・・・レビィは一緒じゃねぇのか?」
その日レビィはルーシィたちと女子会と称する食事会に行っていたのだが、あえてガジルはそのことには触れず、
「さぁな」
とぶっきらぼうに言い放った。
実はジェットもレビィのことになると頭が回るという一面をもっており、ガジルがレビィの予定を知らないはずはないとふんだものの、
何も語らないこの滅竜魔導士の真意を測りかねていた。

「・・・。お前ぇ、一人ならちょうどいいや。こっちきて、俺たちと飲まねぇか?」
こちらも予期せぬ誘いを受けて、ジェットの真意を測りかねたものの、断る理由も見当たらないので、
ガジルは二人のいるテーブルへと席を移したのだった。
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