storyY ザンメル部屋 2022.1/25up

□わざとじゃない
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「あの、ザンクロウさんって人、何をやらかしたんだろうね。ジュビアがあそこまで怒るってよっぽどじゃない?」
「アア」
ことグレイが絡むと見境のなくなるジュビアだが、親しい友人の窮地も同じなのだった。
グレイに何やら耳打ちされたジュビアが叫んだ。


「まあっレビィさん!!とガジルくん」
突然、ジュビアがレビィとガジルに気づいて立ち上がった。
「なんて良いところに!!」
「へ?」
「ザンクロウさん、さっきのチケット出して」
「あ、オウ」
ジュビアはザンクロウからボロボロの紙切れを受け取ると、ガジルとレビィのところへやってきた。
「レビィさん、このチケットを元通りに直せませんか?」
「え、ああ、このチケット破れちゃったんだね」
「そうなんです。間違って洗濯しちゃったんですって」
「修復の呪文で直せると思うけど・・・・・・」
レビィはブツブツと小声で呪文を唱えた。
いつも古文書の破れなどを補修する時に使っている呪文だ。
レビィの手の中の紙切れが輝いて、元通りになったチケットが2枚、ふわりと舞い踊った。
「直った〜〜〜!!メルディ、直ったわよ!!レビィさん、ありがとうございます〜〜〜!!」
ジュビアがレビィに抱きついた。


そのチケットとは、なかなか手に入らない『癒やしの音魂コンサート』のチケットらしく、ジュビアがメルディとザンクロウのためにプレゼントしたものだった。
それをザンクロウが間違って服のポケットに入れたまま洗濯してしまい、ボロボロになってしまったのをメルディがジュビアにわびたのがことの始まりだったのだ。



「あいつら、魔導士が揃って何やってんだ」
「フフフ」
修復の魔法を使える魔導士に頼めば、朝飯前のことだったのだ。
「でもグレイの造形魔法は紙には使えないでしょ」
「確かに」
ガジルの滅竜魔法も出番がなさそうだ。
「なんだかよくわからないけど、役に立てて良かった」
レビィが嬉しそうに笑ってソフトクリームをなめた。
「あちぃ〜〜〜」
ガジルはレビィのかわいらしさに熱くなってしまった自分を隠そうと必死だった。
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