storyX 『紅の螺旋』(連載中)5/22up

□第8章 忍び寄る影
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「表へ出ろ!!」
二人組が金髪の男の胸ぐらをつかもうと立ち上がる。
「ほう、やるならオレも加勢しよう」
そばのテーブルに座っていたドレッドヘアの男が腰を上げ、金髪の男に向かって出された手をつかんだ。
「なんだ仲間かよ!!」
一触即発の四人が立ち上がり、店の外へ出ようとするところへ、
「お婆さん、あの男ッスよね」
と大柄の男が一人の老婆を連れてきた。
「ええ、そう」
「警備隊さーん、こっち!こっちッス。お願いしまース」
「くそっ!!」
詐欺がバレた二人の男が店の裏口へと走る。
「だから、金は置いてけっての」
金髪の男が、逃げようとした男の持っていた袋をするっと掴んだ。
そして目にも止まらぬ早業で金貨の入っていた革袋だけを取り出していた。

「婆さん、ハイ」
「ありがとう、ありがとう」
何度も頭を下げる老婆に向かって、金髪とドレッドヘアと大柄の男たちはニコニコと声をかけていた。

LRの喉は緊張でカラカラだった。
これは夢なのか。
現実なのか。
オレが出した具現のアークなのか。
まさか。

「ザ、ザンクロウ」
LRことラスティローズは震える声を絞り出して男の名前を呼んだ。
金髪の男が振り向いた。
「なんで、アンタ、オレっちの名前知ってんだ?」
「お、お前、本当にザンクロウなのか!?じゃあそっちはアズマか?お前はヒカルだろ!?」
「げっ、気持ち悪!!アンタ、魔法使いかよ」
「ぶぶぶぶ不気味ッスね」
「ほう、話を聞いてみたいものだね」
老婆に金を返してやった男たちがラスティローズの方へ歩み寄り、テーブルに腰かけた。まるで古くからの知り合いのように。
アズマが言った。
「まずは、はじめまして、だが」
ザンクロウが自己紹介を一括した。
「オレっちはザンクロウ、こっちはアズマ、そっちはヒカル」
そして、ラスティローズの期待とは裏腹にこう言った。
「アンタ、名前は?」




つづく〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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