頂き物 (お話)

□君色ピアス
2ページ/5ページ



「喜助か」

「はい〜♪お久し振りッス、夜一サンvV」

「お主も相変わらずのようじゃの」

「そう言う夜一サンも、相も変わらず、お綺麗ですネェ」

夜一の姿を見つけた途端に、瞬歩で目の前に移動して来た恋人を見やる。
いつもの商店店主の格好に、片手には愛用の扇子。本人が意識せずとも、胡散臭さが滲み出てしまっているのは、まぁ仕方がないだろう。



「…して。儂を此処に呼び出した用は何じゃ」

「あ、そうそう♪そうなんスよ、実は―――…」

言って、ゴソゴソと何処からか黒い箱を取り出す。夜一の片手にも収まってしまいそうな、小さな箱で、平たい長方形の妙にきっちりとしている箱だった。


「コレを渡したかったからなんス」

「…?」


受け取り、箱を開けてみると中に入っていたのは…



「ピアス?」

そう、箱の中に入っていたのは美しいピアスだった。だが、それを目にした途端に、生じる疑問と違和感。




「喜助、何故二組入っておるのじゃ?」

そう箱の中に入っていたピアスは、白のピアスが一組と黒いピアスが一組だった。いや、黒いというよりは良く見ると紫に近かった。しかし、感じた違和感はコレではない。
いや、一応あっていると言えばあっているのだが。
ピアスを見た時に感じた違和感、それは


「ただのピアスかと思うたが、違うようじゃの。どうにも、見る角度によって色が違って見えるのじゃが」

そう、浦原が細工でもしたのか、どちらも見る角度によって色が変わって見えるのだ。白い方のピアスは時折、エメラルドのような濃い緑に見え、紫の方はトパーズのような黄色に見えた。



「コレはただのピアスではないじゃろう」

「当たりッス!!流石、夜一サンvV」

パタパタと扇子を振って、自分を褒めてくる喜助を無視して更に続ける。


「互いの色が違う上に、ただの宝石…という風にも見えん」

「それ、アタシが作りましたから。色が違うのはアタシ達の、互いのイメージカラーッス」

「と、いうことは此方の紫が儂で、此方の白い方が喜助かの」

「そッス♪まぁ、付けるのは逆っスけど」

「?」

「付けるのは白い方が夜一サンで、紫の方がアタシッス♪」


言って紫の方のピアスを手に取り、自身の耳に身に付けようとする。と、途中で思い出したように手を止め

「あ、このピアスは肌に傷つかないように細工してありますから。痛くないッスよ♪」

自慢気に言って、付けて見せる。なるほど、確かに浦原の言っていた通り、確かに耳に針を刺した筈であったのに、浦原の耳からは血も出ず、元々そこにあったかのように両耳に紫のピアスが嵌まっていた。











次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ