(文)

□文化祭準備
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「今年の出し物はコスプレ喫茶に決めたから」
今年の海原祭は何にするかという議題の前に、幸村はそう言い放つ。
「こ、コスプレ喫茶?」
「いろいろな衣装を着て客をもてなす喫茶店か……」
「なんかさ、急にやりたくなっちゃったんだよね。皆それでいいだろ?」
皆の賛同を待たずに、幸村は柳から奪い取った参加書に種目を書いていく。
「おい、待たんか幸村!」
「なんだよ真田、煩いな。言っておくけど、反対してるのは真田だけだからね。みんなノリノリだから」
言われて周囲を見渡すと、メニューはなんだ、衣装はなんだと騒いでいた。
「ただの喫茶店だって」
言って微笑む幸村に、どうしても意見することが出来なかった。 


その日の帰り際「衣装の手配とかは俺がするから、楽しみに待っててよね」と、幸村は楽しそうだった。だが、三日経っても特に何もない。
「幸村はまだか!」
「そう焦るな弦一郎。文化祭は逃げない」
「それはそうだがな、蓮二。いろいろと準備が」
「あれほど楽しそうに言い放っていたんだ、幸村が全部やるさ」
言っていると、教室にバタバタと音が響いた。
「準備が出来たよ!放課後部室に集合!」
珍しく息を切らした幸村は、早口で俺達に告げる。
「書類の提出は全部終わったのか?」
蓮二が聞くと、幸村は溜め息を吐き腕を組む。
「なにあのめんどくさいの。あぁいうのは俺に向いてないんだよね」
「では、書類は提出していないのか?」
「なんだよ真田。怖い顔しちゃってさ。やったに決まってるだろ?」
「そうか。すまない」
「とにかく!放課後集合だから!」
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