(文)

□※鸛
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「コウノトリが運んで来るのではいのか?」
流石に驚いた。
未だにサンタクロースを信じている切原赤也言ったのであれば、ここまで驚かなかったであろう。
だがしかし、これを真田弦一郎は真面目に言っているのだから、少し呆れてしまう。
「違うのか……?」
可愛い顔を覗き込ませ、聞いてくる弦一郎に、さぁ、どう答えようか。




「お前の子が欲しいな……」
今日は親が居ないからと言うと、弦一郎は付いて来た。隣に弦一郎を感じながら、ベッドに座り、壁に寄りかかる。たまたま読んでいた本の主人公に子供が出来、思ったことを口にした。そして返ってきた言葉が、コウノトリだ。
「二人で願えば、コウノトリが赤子を運んで来てくれる」
もしそれが本当ならば、どれだけ都合の良い話なのだろうか。
「違うのか……?」
「……弦一郎」
読んでいた本を閉じるて、言葉を探す。
「コウノトリは、赤ん坊など運んで来ない」
「本当なのか、蓮二!」
弦一郎は、手にしていた本を投げ捨て、俺に食い付いて来る。
「あ、あぁ……」
「そうなのか……。幼いとき母に“弦一郎はコウノトリさんが運んで来たのよ”と、聞かされていたので……すまん。忘れてくれ」
こんな可愛らしい事が忘れられるだろうか。
「弦一郎。赤ん坊は、女性の腹の中に出来るんだ」
「は、腹にか……!ど、どうやったら腹に人が出来るのだ?あれだけに育っては大変ではないのか?」
すっかり混乱してしまっている。言い方が不味かっただろうか。
「……今度本でも買ってやろう」
言うと、弦一郎は顔を赤くしながら「嫌、いい!」と、顔の前で手を振る。
「弦一郎。俺達がやっていることで、赤ん坊は出来るんだ」
「俺達が、やっていること……?」
「そうだ」
またそんな可愛い顔をするから、お前に触れたくなる。
「そ、それは……」
「セックス」
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